今日で最期 (ページ9)

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嘘じゃないページ9

突然起きたこと過ぎで頭の中で処理が追いつかない。

夢…… だったのか…？
やけにリアルな夢だった。

うらたと話したことを思い出そうと、夢の中？で話していた場所を見つめる。

『今日一日だけ、な？』

確かにそう言っていた。
あれは私の都合のいい妄想なのだろうか。
会いたいと思う気持ちが、うらたの夢を見せたのか。
どちらにせよ気持ち悪い。

私は永遠にうらたという人間に、支配されている気がした。

ぼーっとする頭で立ち上がる。
するとなんだかうらたが近くにいるような暖かい感じがした。

重たい足取りで、下の階へと下る。

「…おはよ」

「あら、おはよ。意外と朝早いのね？」

「毎週金曜は一限だったから」

「そうなの。…ねぇ、今日お墓参り行く？」

「……お墓」

うらたが死んでから1度もお墓参りに行ったことがない。
そんなことしたらきっと私は泣いてしまうからだと思う。うらたが死んだこと、心のどっかでは認めたくない気持ちがあるのかもしれない。

なのに今はうらたに会いたいという一心で、お墓に行きたいとまで思ってしまった。

「うん、行こっかな」

「わかった。じゃあ、お昼には出るから準備して」

確かめなければいけない。
昨日出てきたあれは本当にうらたなのか。

今日だけ。といったうらたに嘘はなかったのか。

うらたがいれば、もう一度話したい。
そんな確証は無いけど……。

私はやっぱりあの時のまま時間が止まってしまっているみたいだった。

エアコンの効きの悪い実家は常に蒸し暑かった。

セミの鳴き声もすぐそばで聞こえる。

ここにいると私を取り巻く全てが鬱陶しくて、思わずため息をついてしまう。

「Aー？そろそろ家出るわよー」

「はぁーい」

私は少し汗ばんだ額を手の甲で拭った。
覚悟を決めて、彼に会いにいく。