今日で最期 (ページ6)

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「……あれ？今年はいるんだ」

「え？」

幽霊らしき声に、聞き覚えがあった。

暗闇の中で声がした方へ目線をやる。

ピントがゆっくりとあっていく。

少し低い背。ミルクティー色の髪。透き通るほど真っ白な肌。

「……うら、た？」

驚きもしたが、私がずっと再会を期待していた人。それこそが、この幽霊のうらた。

「よ、ひさしぶり」

そう右手をあげるうらた。
まるで生前の頃と変わらないみたいだった。

「あ、金縛り解いてやるよ。まさかいるとは思わなくて、適当にかけたからびっくりした？」

「……え、まってなんでそんなに普通に話すの？」

「ん？」

「まって、今私が見てるうらたって、」

「幽霊だよ」

「だよね。なんでそんなあたかも普通のように話しかけてくるの」

まるでこんなのコントだ。
登ってくる幽霊がうらただったらいいなと思うものの、8割は諦めていた。なのにこれだ。私はまさに困惑。頭がパンクしている状態だ。

「だって、俺に会うためにわざわざこの時期に帰ってきたんじゃねぇの？」

「はぁ？！違うに決まってんじゃん！なんで私がわざわざ！」

「んだよ、俺のためかと思ったのによ」

「なんで私がうらたのために…… 第一、私がずっとこっちに帰ってこなかった理由、あんたなんだからね？」

「はぁ？それは聞き捨てならねぇな」

「だってここにいるとうらたのこと…！」

そこまで言って冷静になった。
今私が言い合いしているのは、3年間ずっと会いたくて、会いたくないと思い続けたうらたなんだ。

……高２の今日うらたは突然倒れた。
そして死んだ。

何が原因なのかも分からない。
突然胸を押えて苦しそうに死んだ情けないうらた。

こいつに私は呪縛のように悩まされ、考え続けた。

なのにあっさりここで再会してしまうとは私もすっかり気落ちし、なんだか怒りが湧いてきた。

「どうしたんだよ、急に黙って」

「…別に。私はあんたに会いたくてここに来たわけじゃない。ここになんて帰ってきたくなかった。それだけ。」

「なんだよその言い草。まるで俺に会いたくなかったみてぇじゃねえかよ。」

「会いたくなかったよ！！」