今日で最期 (ページ29)

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キスとハグページ29

私たちがいつも別れていた踏切まで下ってきた。
もうその頃は夕日のおかげで空が真っ赤だった。
私たちの2度目の別れが来る。
そうしんみりした気持ちにさせた。

「うらた、今日はほんとに…… うら、た？」

胸を押さえ苦しそうにしているうらたが私の後ろで立っていた。
まるで、3年前のあの日のように。

「うらた？！！」

急いでうらたの側まで駆け寄る。うらたはその場で小さく屈んでしまった。

「……もう、最期…だから」

苦しそうなうらたの声。本当に時間がないことを容易に理解出来た。

私は2度目のお別れをしなければならない。
3度目はないお別れ。

「…Aと出会えて、本当によかった。……最期に会えたのも今までで1番の幸せを感じた瞬間だった…」

「うらた…」

うらたの目に少し光が差した。涙の幕を1枚張り、キラキラと反射している。
そしてうらたは私の手をしっかりとまた掴んだ。

「透明になってる。……こっちに来ちゃダメだ。」

「……分かってる！！わかってるから！そっちには行かない！行かない程度にうらたのそばに居たいって今思ってるの！！」

苦しそうな顔から覗く、驚いたような表情のうらたに、なんだか心の張り詰めが和らいだ気がした。

「こんな時まで言い合いか…」

「うらただって私に触った。引き止めてるのはそっちもだよ…

……うらたのことが好き。今も多分この先しばらくはずっと好き。」

「成仏しても、Aのことは忘れねぇよ。」

うらたは私の顔に手を添え、優しく触れるだけのキスをした。
約束破り。触れて、キスまでしやがった。

「愛してる」