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「手紙、なんて書いてあったんだよ」
「うらたのおかげで自分が変われたこと、忘れないでって。」
「覚えてた?」
「忘れてた」
そこでまた私たちは顔を見合せて笑った。やっぱりななんてバカにされたけど、それさえ楽しかった。
「でも、これからは忘れないと思う。ちゃんとここで今思い出して、忘れたくないって思ったから。」
「俺がどんな風にAのことを変えたの?」
「うーん、私ちっちゃい時は虫とか大嫌いだったし、すごい内気で全然笑わない可愛くない子だった。けど、うらたと遊ぶようになったら、無理やり色んなところに連れてかれるし、結構意地悪なことされるしで強くなった」
「あんまいい事じゃなくね…」
「でも、楽しい時は素直に笑える子になれた気がする。」
「まぁ、Aは変わったこともあるのかもしれねぇけど、変わらってないことの方が多いと思う」
「え?どういうこと?」
「頑固なところとかは変わってねぇな。あとは、泣き虫なところ。それにすぐムスッとするところとか」
「ちょっと」
「へへ。俺はそのままのAが好きだよ。この先変わらないでなんて言える権利俺には無いけど、全部ひっくるめてAはAだから。そんなAが俺が好きだった。」
「……うらたも変わったけど、変わってないところある」
「どこだよ」
「意地悪なところ」
「Aのそういうところ、俺が生きてるうちに変えてやればよかった…」
また、私たちは顔を見合せニヤリとした。
こうやって言い合ってる時がいちばん楽しい。
なんだかうらたが幽霊なんて嘘みたいだし、高校生に戻った気分になった。
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翼 - この作品を読んで思わず泣いてしまいました 。😢とても素敵な作品ですね。この作品がとても好きになりました! (3月5日 20時) (レス) id: f515e19b61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むん | 作成日時:2023年8月14日 0時