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「ねぇ、うらた」

私の手を引いて、少し先を歩くうらた。

「ねぇ、ねぇってば」

聞こえてないみたいに、私の声掛けを無視する。

「……うらた、」

少し情けない声が出てしまった。泣きそうな、寂しい声色をしていた。
ハッとしたように振り返ったうらたの顔には焦りが浮かんでいた。

「ご、ごめん… 考え事してた」

「…うらたは私が幽霊になれるって知ったらうらたのあとを追いかけると思った?」

「……そうなったら嫌だって思ってたんだよ。」

「…多分あと追いかけちゃう。」

「やめろよ。幽霊になりたいなんて思うの。」

「……わかってる。うらたが望まないなら、…幽霊になんてならないよ。」


私の頭にそっと手を置いて、ごめんとつぶやいた。
心が苦しかった。

私がうらたのことを思えば思うほど、体は透けて、うらたのことを傷つける。
今日でこの気持ちに蹴りをつけなくちゃいけない。
…うらたと一緒にいたいという願望とは別の形で。


「……人間が幽霊に触れるのも同じような理由?」


「そう、透けるほどの強い思いじゃなくても、俺と同じになりたいとか、一緒に居たいと思えば触れる。…逆も然り。俺がAと一緒にいたいと思えばこうやって触れる。」


私の頭をぐしゃぐしゃにするように撫でた。


「ここで、Aを殺すようなことはしたくないんだよ。」

「……うらたは優しいからね。」


うらたが握っている手とは、反対の手に力を込める。
握られた写真がぐしゃりとなるほど。


「泣くなよ」

「泣いてないよ」

「思いっきり泣いてんじゃん」

「泣いてない……」


もう堪えられなかった。

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設定タグ:浦島坂田船 , うらたぬき , usss   
作品ジャンル:恋愛
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- この作品を読んで思わず泣いてしまいました 。😢とても素敵な作品ですね。この作品がとても好きになりました! (3月5日 20時) (レス) id: f515e19b61 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むん | 作成日時:2023年8月14日 0時

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