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「お嬢さんも隣にいるやつほどじゃないけど、透けてる」
「うそ……」
「お嬢さんはこの彼のことが好きなんだろ。大方、現世に置いてけぼりにされてたのに、急に会えたって口だろ。」
「な、なんでそんなに分かるの…」
「じーさんは昔っから幽霊が見えてね。時々現像する写真にも幽霊が写ってて。それで色々研究してたら幽霊に詳しくなっちまってよ」
はははと笑うおじいさん。
うらたが幽霊ってだけじゃなくて、私たち2人のことまで見えてきてしまうなんて…。
……それよりも、
「あの、私ほんとに透けてるんですか…?」
「ああ、しっかり指先が透けてるね。」
私は青ざめた。なぜ私はさっきからたまに指先が透けてしまうのか。
この人ならなにか分かる気がする。
「妙なこと考えるなって言ったろ。」
私が考えていることを見透かしているように、おじいさんは私に語りかけてきた。
「幽霊になりたい。幽霊と一緒にいたい。そう思い続けると、体がどんどん透けてくる。それで、完全に透けたら、もう人間に戻れない。お嬢さんは勝手に死んだことになる。」
「…え、」
「ここに写ってる幽霊から聞いてない?」
「……教えてくれなくて…」
「そうかい」
私はあまりの衝撃的な事実に、冷静では居られなくなってしまった。
頭がぐるぐると回り、目が回りそうになった。
「お、お嬢さん?!とりあえず座りな!!」
私は少しの間この写真屋さんで眠ってしまった。
……衝撃で気を失うなんて初めてだ。
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翼 - この作品を読んで思わず泣いてしまいました 。😢とても素敵な作品ですね。この作品がとても好きになりました! (3月5日 20時) (レス) id: f515e19b61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むん | 作成日時:2023年8月14日 0時