今日で最期 (ページ20)

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「…すみません」

写真屋さんの中は、小さなお家のようだった。アットホームというか生活感があるというか。

当たりを見回しながら、奥でテレビに釘付けになっている店主に話しかける。

「おー、今行く今行く」

足腰が悪いのか。ゆっくりと立ち上がり、カウンター越しに私の前へと奥から降りてきたおじいさん。

「あの、写真を現像して欲しくて」

「今どき写真の現像？スマホはないのスマホは」

「…一緒に撮った人がスマホ持ってなくて……？」

「まぁ、仕事だからいいけども。それ？カメラは」

「あ、はい」

私の手に握られていたインスタントカメラを指さし、渡すように催促をかけられた。
地元のおじさん感がとても強くて、話のペースを合わせるのがなかなか難しい。

「ありゃ、」

「…どうかしました？」

「ここの写真そこのひまわり畑か」

「あ、はい」

「隣のヤツは彼氏か？」

「いえ ……え？」

「なんだ付き合ってはないのか」

「待ってください、見えるんですか？」

私は目を丸くして、店主さんの顔を見た。
髭が生えっぱなしで、少しだらしない。
体も小柄でとても痩せていて、少し心配になるような見た目をしていた。

「見えるとも。でも少し透けてるね。こりゃ幽霊だ」

私は呆気に取られもう何も発することは出来なかった。
なんでこのおじさんは、幽霊のうらたが見えるの？

「2枚でいいのかい？」

「…あ、はい……」

そう私に聞くと、すぐカメラを機械にかけ現像の手順をふんでいた。

「……お嬢さん、あまり妙なことは考えるんじゃないよ」

「え？」