告白 ページ13
うらたのお墓があった場所から少し離れるだけで、下界におりてきたみたいに、辺りはうるさくて暑くて仕方なかった。
うらたは私の隣をしっかり歩いている。また消えてしまうことが怖くなってしまった。
うらたに触れることが出来なくなってしまったこと。今日"だけ"という言葉。
また私に損失が訪れると考えるだけで、心が締め付けられる。
「ねぇ、どこに行くの?」
「ん?まあ、せっかく2人になったんだし、高校生の時によく行ったところでも行こうかなって。」
「…あぁ、だからまずここね、」
うらたが立ち止まったのは踏切の前だった。
こっから向こうがうらたの家の方向。こっち側が私の家の方。
ここで私たちはいつも別れていた。
別に付き合ってたわけじゃない。だけど、生まれた時からずっと一緒だったから。たったそれだけの事だったけど高校生になっても、
もっと言えばうらたが死ぬ前までずっと私たちは一緒にいた。
そして私はうらたのことがずっと好きだった。
いつからその気持ちがあったのか今になっては分かるはずがない。
ただ、ずっと好きで、離れている時間も惜しくて、
ここの踏切でうらたの背中が小さくなって、見えなくなるまでずーっと私は手を振っていた。
真っ赤な夕日に飲み込まれるようにいなくなるうらたを見てはいつも切なくなっていた。
私の元からうらたがいなくなっちゃうことに、ずっと前から気づいていたみたいに。
「どうした?」
「うらた、気づいてた?」
「なにが?」
「私がここでうらたが見えなくなるまでずっと手を振ってたこと。」
「……気づいてたよ」
「うそだー」
「ほんとだって。…めっちゃうれしかった。」
切なそうなうらたの顔に酷く胸が痛んだ。
なんで、そんな顔をするの?
「…嬉しかったなら、もっと喜んでよ」
「え?」
「うらた、悲しそう。」
「それはAも同じだよ。ここに来てからずっと顔暗い。」
だって、
……だってここは、
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翼 - この作品を読んで思わず泣いてしまいました 。😢とても素敵な作品ですね。この作品がとても好きになりました! (3月5日 20時) (レス) id: f515e19b61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むん | 作成日時:2023年8月14日 0時