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「なんで…?」
昨日は触れたはずなのに。昨日はしっかり手首を握ったのに。
「俺に会いたいって気持ちが薄らいだのかなー?」
「からかうのやめて!それに、会いたい気持ちが幽霊に触れるようになるって嘘でしょ?」
「さぁ、どうだか?」
「誤魔化さないでよ」
うらたの瞳はもう曇っていなかった。しかし今度は私が思い悩んだ。
うらたに触れる条件って一体何なの?
「……A、そんなに俺に触りたい訳?」
「なんか言い方気持ち悪い」
「お前の様子をそのまま言っただけだよ!!」
「別に。触りたい触りたくないじゃない。なんで私が昨日の夜幽霊の手首を握れたのか気になるだけ。」
ふーんっと興味なさげな返事をするうらた。
私の嘘がきっとバレたからなのだろう。うらたに本心を隠すことは出来ない。けど、私の心を読むことも出来ない。
答えが出ない私の気持ちにうらたは、考えることを放棄したんだと思う。
「まぁ、とりあえずここから離れようぜ。」
「うん」
「そんな落ち込むなって」
「普通に元気だし」
うらたは私の頭に手を置いて撫でるフリをした。
やっぱりうらたは私に触れることはできないんだ。
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翼 - この作品を読んで思わず泣いてしまいました 。😢とても素敵な作品ですね。この作品がとても好きになりました! (3月5日 20時) (レス) id: f515e19b61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むん | 作成日時:2023年8月14日 0時