今日で最期 (ページ2)

今日:7 hit、昨日:20 hit、合計:3,357 hit

・ページ2

A8月の13日から16日まで今年はそっち帰るね
お母さんめずらしい!どうして急に?
Aバイト先の先輩が実家帰れって勝手に休み入れたの
Aバイトないとすることないから帰る
お母さんあんた最低ね…
お母さんでもまぁ、いいんじゃない?今年でちょうど3年目だし。会いに行ってあげなさいよ。
A会いに行くって、
Aやめてよ、もう昔の話じゃん

携帯を捨ててため息をつく。

夏は嫌いだ。

蒸し暑いし、アイスはすぐ溶けるし、喉もすぐ乾く。

……あいつのことも思い出す。

夏なんて来なくていい。
そしたら少しは私も気が楽になれるのに。

そしてよりにもよって私が実家に帰る日は、命日だ。
きっと私は泣くだろう。
あの日を悔やんで。

誰も悪くない。だから苦しかった。あの時素直になれていたら、私のこの気持ちも少しは軽かったのに。

あの時勇気を出さなかったせいで、今もずっとズルズル引きずっている。

忘れられないでいる。

___最後にもう一度だけ会いたいな。

それからの毎日は、実家に帰るために暇を潰していたような気分だった。
ずっとあの日を迎える覚悟を決めているみたい。

カレンダーを見ては毎日ため息をついた。

そしていよいよ、あの日が来てしまう。

少なめの荷物をリュックにつめて、家を3日空ける準備に取り掛かった。
こんなに出かける準備で憂鬱に感じるのはかつてないほどだった。