思い出す ページ1
「Aちゃんはバイト、いつ休むの?」
「え?」
バイトの休憩中、シフトが被った仲のいいパートのおばさんにそう聞かれた。
7月もあと2週間で終わる。大学生の私はもうとっくに夏休みに突入してるけど、おばさんの娘さんは確か高校生。私もまだ夏休みじゃないと思われてるのかな。
「私は夏休み中もバリバリシフト入れてますよー!」
「あら!働き者ねぇ。私は8月の初週3日も休み貰っちゃった!」
「お出かけですか?」
「うん、そうなの 家族で少し森の方へキャンプに行くのよ。Aちゃんはどこか行かないの?」
「私は予定全くないですねぇ」
まぁ、そんなことは無い。東京にいる友達と夏はフェスに行ったり、浴衣を着たりする予定はある。
けれど、おばさんみたいな遠出する予定は全くないのだ。
「あら?でもAちゃん、出身確か南関東の方よね?そっちには帰らないの?」
「あー、いつも向こうから来てくれるんです。私がなかなか帰らないから、」
「じゃー!今年こそは帰りなさい!その方がお母さん、喜ぶわよ?」
「え?!いいですよー」
「いーや!きっとお母さん、お父さん寂しいと思うわよ?向こうにいるお友達だって。きっと会いたいと思ってるんじゃないの?」
"お友達"……か、
お友達と言われて思い浮かぶ顔はただ一つだけ。
大切で、永遠だと思っていた人。
会いたいといつまでも引きずってるのは私の方なんだけどな。
「じゃ!私マネージャーにそう伝えとくわね!」
「え?!な、なんてですか……?」
「お盆にAちゃん、実家に帰省しますって」
「え?!ちょ、やめてくださ…」
「あー?マネージャーさん!Aちゃん8月の……」
マネージャーを、とっ捕まえて勝手に話をつけてるおばさん。
1度突っ走ったら止まらないおばさん。
マジでお節介すぎるんだけど……
私はただ帰りたくないだけじゃないのに。
"帰れない"のに
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翼 - この作品を読んで思わず泣いてしまいました 。😢とても素敵な作品ですね。この作品がとても好きになりました! (3月5日 20時) (レス) id: f515e19b61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むん | 作成日時:2023年8月14日 0時