あなたが部屋着に着替えたら 2

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「めっちゃ手震えながらお前に電話しても、出てもらえんくて。

その後の収録、俺、ヨコ並みに噛んだしやな！！

精神的にガッタガタやったで？


ポジティブとか言われてるけど、好きな女に突然振られかけててポジティブに居れるやつ、おらんやろ？！

俺もそないアホちゃうゆーねん！



めっちゃ心配したし。

めっちゃ気にしたし。

めっちゃ嫌やった。



Aが俺から離れていくこととか、俺のもんやなくなって、誰かにその笑顔向けるようになるんやて、そう思ったら、、、


‥‥‥‥‥‥もう、堪らんかった。



ほんま、ゴメンナサイ。


もう、絶対こんなことないようにするから！！

絶対悲しませるようなこと、せんから！！


せやから。

一緒におって下さい。

別れんとって下さい。


お願いします！！」


正座のまま、彼は床につける勢いで頭を下げた。




「‥‥‥‥‥次は、


ないですよ？」

「わかってます！

わかってますから！！！


もう、‥‥‥‥抱きしめても、ええかな？」

情けない顔で私を見上げてくるから、反射的に彼の頭を抱えた。


私の背中に彼の腕が力強く回る。


ぎゅうっ


と音がするような力で。

ふ〜っ
とシンゴさんが大きく息を吐き出したら、小さく嗚咽が聞こえてきた。



「泣かせちゃってごめん」
彼の硬い髪を撫でながら言うと、

「泣いてへんわ！
アホ！」

って返ってくる。



ふと顔をあげた彼の目は真っ赤だったけど、気付かなかったフリしてあげるね？


今度はシンゴさんが私をぎゅっと隙間なく抱き込んで、

「泣かせて、ごめんな？」

って。

「泣いてないよ」
って返したら、2人で顔を見合わせて笑った。




あれからその例の女性のスタッフさんはシンゴさんの現場から外れることになったらしい。

正確には彼の事務所関係の仕事は全部関われないことになり、事実上干されたということだ。

彼女もきっと。

彼が好きだっただけなんだ。

やり方は間違えてしまったけれど、きっと最初はただ純粋に彼のことを想っていたのだと思う。

素敵な人だから、気持ちはわかる。


でも。


「‥‥‥‥誰にもあげない」

一緒に寝ていた彼にぎゅっと抱きついた。
心の中で呟いたつもりでいたのに、声に出ていたみたい。


あっという間に私の天地はひっくり返り、目の前にはにっこり笑ったシンゴさん。


「俺も、、、
Aのこと、誰にもやらん。

ずっと、俺のや。」

奪い取るようなキスが落ちてきたら、長い夜が始まる。

俺と彼女 / 黄→←_

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