そんな、家族の話 (ページ24)

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茜の雲と、飛行機とページ24

買い物袋をぶら下げた、おおよそそれに似つかわしくない男達。

片方は制服のブレザーでさえ、何かの衣装にみえるような整った顔立ちとスタイル。

もう片方は幾分小柄で華奢、可愛らしい顔立ち。

袋からはみ出たネギがまた、なんとも不似合いだが、それを気にする様子もなく、2人は仲良さげに肩をぶつけ合いながら、家へと続く坂道を下って行く。

ふと、背の高い方が足を止め、空を指差して何か言う。
もう1人も相槌を打つように頷いている。

と、2人は穏やかな笑顔で少しの間立ち止まり空を見上げていた。

「じゅん、じゅんくん！！まって！」

「カ～ズぅ～！！！」

「かってにいったら、だめなんだよ！
ママにいわれたでしょ！」

「ままなんてしらないよっ！

ままはいつもおしごとで、ぼくたちのことなんか、きらいなんだ！」

「もうすぐ、にいたち、かえってくるから。

そしたらたくさん、あそんでもらえるよ」

「いやだっ！！

ぱぱは？ままは？

なんでうちだけ、いっつもおむかえがさとにいたちなんだよっ！！」

今にも泣き出しそうな小さな弟の憤慨を、必死に受け止めようとする小さな兄。

小さな手で潤を抱きかかえ、頭を撫でて慰める和也の目にもいつの間にか涙が溜まっていた。

弟といったって、たった一歳違いの年子だ。

和也だって寂しい気持ちを我慢していた。

父も母も多忙で、潤が産まれてしばらくしたらまた頻繁に海外に仕事に行くようになり、家を空けることが多くなった。

今朝、保育園に来るまで母親とべったりだったせいか、またしばらく離れるのが余計に辛いと見える。

潤は最初こそおとなしく遊んでいたが、ちらほらとお迎えの母親達の姿が見えてきたせいもあり、現実を突きつけられたのだろう。

迎えに来るのは智だし、家に帰っても父も母も居ないのだということを。