ラナンキュラス 【ym×in】

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やまだに抱きしめられて、わけわかんなくて

でもなんでだろう




もう少しだけこのまま。




そう言われても嫌じゃなかったんだ

気付いたらおれもやまだの背中に手を回してしまってて。


…無意識だったんだ。


別にやまだのことがそう言う意味で好きなわけじゃない。

のに。

どうしておれは手を回したんだろう。




「すき。」




そうやまだの呟いた声が鼓膜に響く


…そんな切なそうに言わないで。


同情とかじゃないけれど、なぜかおれまで胸がギュッと締め付けられたような気持ちになる

それが耐えらなくて。




「や、まだ？」




そう声をかけた。

するとやまだはハッとしたような顔をして慌てておれから離れた。




「あ、ご、ごめん、俺

あ、の、ケーキ、ケーキ食べよう！！」




そう言ってバタバタと厨房に消えた。

……何だったんだよ。

よく分からなくてその背中をぼーっと見届けていることしかできなかった。




「あ、の。」


「ほぁ？」


「お席、案内致します。」


「あ、お、お願いします……」






絶対見てたよね。

絶対おれとやまだの一部始終見てたよね

気まずい。

気まずい気まずい！

そう思いながら恐る恐る振り返ると、そこにいたのは長い明るめの茶髪の切れ長の目をしたやまだとはまた違うイケメンだった。




「あの、あなたが伊野尾さんですか？？」


「へ？

そ、そうですけど………。」




席に着くなりそう尋ねて来た店員さん。

なんでおれの名前知ってるの…？





「やっぱり！！

山田が言ってた通りの綺麗な人だ。」


「やまだが？」


「山田、伊野尾さんが来た日からずっと伊野尾さんの話しかしないんすよ笑

綺麗、可愛い、面白い、

ずっと言ってましたよ。笑」





な、にそれ

ちょっとこっぱずかしいけれど、本当におれのこと好きなんだなってちょっと実感。





「だから俺も会ってみたくて！

今日やっと会えてよかったです」


「は、はぁ、」


「俺、高木雄也って言います。

26歳だから多分伊野尾さんの一個上。」


「たかぎ……」


「たかき！！です！」


「わかった、たかぎさんよろしく！」





高木さんは気さくで見た目は少し怖いけどとっても喋りやすい。

思わず夢中で話してしまった。





「へぇー、伊野尾くんって建築家なの！」


「うん、まあね。」


「すっげぇ！」


「ふふ、今度たかぎの家も設計してやろうか？笑」




なんてたわいもない話を。






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