ラナンキュラス 【ym×in】

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ym side







「ありがとうございました。

またのお越しをお待ちしております。」







山田涼介、22歳。

職業、パティシエ

高校卒業と共に親父の店を継いだ。

と言っても2号店だけど。


小さい頃から親父にみっちり指導されてきてやっとここまできた。



最近では少しずつだけど実力が認められて。

雑誌やテレビの取材も少しずつ増えてきた



嬉しいことだよね。




お客さんの笑顔を見るのが1番嬉しいんだ。








チリン







「いらっしゃいませ」





ふと今入ってきたお客様の顔を見る






「___________っ！」







思わず見惚れてしまうほどだった

眠たそうにトロンとした、それでいてくっきり二重の大きな目。

ぷっくりとした赤い唇

スッと通った鼻

雪のように真っ白な美しい肌


こんな美しい人がいるのか



正直そう本気で思った。





もう一度その人の方に視線を戻すとぐるーっとこのお店の内装を見渡している


…建築に興味があるのかな


じゃなくて！！

案内しないとね。




席に案内して、注文が決まるまで別の仕事をしようと思いその場を離れようとすると






「あの、！！

やまださんのオススメ、教えてください！」






……え？

なんでこの人俺の名前知ってるの？

テレビや雑誌を見てここまできてくれたの？

思わず聞き返してしまった。



すると、ハッとした顔をした後にボンっと音がつきそうなほど顔を真っ赤にして謝ってくる


……可愛い


こんなに可愛くて綺麗な人、初めて見た



ニヤけそうな顔を必死に抑えて対応する俺、なかなか気持ち悪いよな、

なんて1人で思いながらオススメを答える



"フォンダンオショコラ"



これは、俺が初めて1人でちゃんと作れるようになったケーキなんだ。

だからオススメ、というか思い入れのあるもの



取り敢えず注文されたケーキをとりに一度裏へ戻る。




本当に綺麗な人だ。




.





できたケーキを持っていく。




「お待たせ致しました、

フォンダンオショコラでございます。」





すると、


わぁぁ！美味しそう！！！！


と言って目を輝かせてくれた





「いただきまあす」




フォークとナイフで器用にケーキを切るその手が美し過ぎてまた目を奪われた

切ったケーキを口へ運ぶ彼。

ひとくち口にした後、美味しい、そう呟き


ふわり、とした笑顔を向けてくれた





トクン





俺の胸が高鳴るのが分かった

ああ、

俺この人に一目惚れしたんだ。





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