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「「「ありがとうございましたー!!」」」
全員で挨拶して、なんとか撮影を終えることができた。
ru「ねーめめ。阿部ちゃんに謝んなくていいの?」
こそっとラウールが耳打ちしてくる。
「さっきの。めめらしくないじゃん。阿部ちゃんのことが心配だったのは分かるけどさ、言い方があるでしょ」
ほんっと、最年少だとは思えないくらいこいつは大人なときがある。
「俺は……、阿部君が自分のことより俺の心配してるから。あの状況だったらまずは自分のこと気にかけるだろ。なんで自分のこと1番に考えないんだって」
「めめは阿部ちゃんのこと、すっごい大切なんだね。心配だからこそ怒っちゃったんでしょ」
ラウールの言葉が胸の奥にすとんと落ちてくる。
「だったら、ちゃんとそれを阿部ちゃんに言ってあげないと。このままじゃ阿部ちゃんはめめに怒られたって思ったままだよ」
「そう、だな。言ってくるわ」
阿部君、俺が「まずは自分のこと心配しろよ」って言った時、ぽかんとしてた。
何言ってるか理解できないって感じで。
だから今阿部君はラウールが言う通り、俺に訳も分からず怒られた、何でだろうって思ってるに違いない。
衣装から私服に着替え終わったタイミングを見計らって、阿部君に声をかける。
「阿部君」
「……目黒」
「ごめん、ちょっといいっすか?」
「分かった」
控室を出て、周りに人がいないことを確認してから阿部君を正面から見つめる。
「阿部君、さっきはいきなり怒鳴ってごめんなさい」
「ううん、俺が悪いから」
「そうじゃなくて。俺は、阿部君がケガしてないか心配だったの。俺のことより、まずは自分を優先してほしかった」
阿部君は俺の言うことを必死に理解しようとしていて。俺はそんなに難しいことを言ってるつもりないんだけど。
「阿部君に、まずは自分を大事にしてほしかった。だからなんで自分のことを第一に考えないんだって思っちゃって、怒鳴っちゃった。ごめん」
「謝んないでよ。目黒は悪くないよ」
そう言ってへらりと笑う。笑ってるのに、泣きそうな目をしていて。ああ、なんでこの人は。
俺より何億倍も頭が良いのに、なんでこう、不器用なのか。思わず抱きしめる。
「ちょ、めぐろ?!」
「俺は、阿部君が大事なの。阿部君が傷つくのは嫌だ。だから、阿部君もちゃんと自分のこと大事にして」
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ゆゆ - 感動しました!ゆり組推しでしたが、めめあべ大好きになりました! (2020年12月7日 20時) (レス) id: aad3573941 (このIDを非表示/違反報告)
花 - 陸さん» 陸さま、あたたかいお言葉ありがとうございます! (2020年5月10日 1時) (レス) id: 46cbc88bb7 (このIDを非表示/違反報告)
陸(プロフ) - 私は,花さんの書くこちらのお話がとても大好きです.これからも無理せずに更新頑張って下さい. (2020年5月7日 1時) (レス) id: 5a51d06a0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はなな(旧花) | 作成日時:2020年4月27日 18時