5. ページ13
あんなに打ち合わせのときからさっきスタジオを出るときまでは優しい笑顔を向けてくれていたのに。
今目の前にいる人は、本当に同じ人なのか。
ああでも、俺が悪い。期待に応えられなかった自分の落ち度だ。
ーーーそう、きっかけはこの日だった。
些細なことなんだと、思う。
この業界で生きていくなかで、こういうことを気にしていてもしょうがない。結果を見せて挽回するしかない。
そうやって切り替えようとして。
でも、あの日から周りの人たちが信じられなくなった。
今このスタッフさんは笑ってくれてるけど、本当は違うんじゃないか。
もっと上手くできただろ、そう思ってるんじゃないか。
一度そう考えはじめたらダメだった。
自意識過剰だ、被害妄想だ。
周りの人からすれば俺の方が間違ってるんだろう。
こういう考えをやめたい自分と、気にしてしまう自分がいつもせめぎ合っていて。
なんでこう、要領よく生きられないのか。自分が嫌で仕方ない。
自分の感情が分からなくなったとき、ふとメンバーが抱きしめてくれたときのことを思い出す。
それで無意識にふらふらと楽屋のソファにいる照のところまで行って、寄りかかった。
「ちゃんと自分で来れたな」
逞しい腕が背中に回る。
次第に肩の力が抜けていくのが自分でも分かった。
ああ、やっと息が出来た。
やっぱり、このメンバーの腕のなかが1番安心できる。落ち着く。
そう思って、目を瞑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 769人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆゆ - 感動しました！ゆり組推しでしたが、めめあべ大好きになりました！ (2020年12月7日 20時) (
レス) id: aad3573941 (このIDを非表示/違反報告)
花 - 陸さん» 陸さま、あたたかいお言葉ありがとうございます！ (2020年5月10日 1時) (レス) id: 46cbc88bb7 (このIDを非表示/違反報告)
陸(プロフ) - 私は，花さんの書くこちらのお話がとても大好きです．これからも無理せずに更新頑張って下さい． (2020年5月7日 1時) (レス) id: 5a51d06a0a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はなな（旧花） | 作成日時：2020年4月27日 18時
