検索窓
今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:63,511 hit

新緑が芽生え始めたら。 ページ42

『もう5月ですねぇ』


「えぇ、そうですね」


窓の外の桜の木を眺めて一言呟くと、珈琲を飲んでいるシャムさんにそう返された。


『新茶がもうそろそろ出荷されるからなぁ、また新作考えないと…』


「抹茶系統で?」


『そうしようかな、とは。………でもアイディアがなかなか浮かばないんですよ……』


「あぁ………」


同意したようにシャムさんが頷いてくれる。


「……よければ、ですけれど」


『へ?』


「メニュー考えるの、手伝いましょうか?」


コーヒーを飲みながらポツリとそう呟いたシャムさん。


『え?でもシャムさん、いいんですか?』


ちょっと申し訳なくて、シャムさんに聞き直すと、「大丈夫ですよ」と言われた。


『…じゃあ、お言葉に甘えて』


そう言って私はメモ帳を取り出した。


「では、まず……」


『あ、シャムさん』


「はい?」


いつも通り敬語で話そうとするシャムさんにストップを入れる。


『……別に敬語じゃなくてもいいですよ?』


「え……ですが……」


『今の私たちはお店のメニューを考える仲間です。だから敬語は要りません。その代わり、私も敬語を使わないので。お願いしますっ』


この通り、と手を合わせてシャムさんを見る。


シャムさんは少しをあたふたしてから、頑なに態度を変えない私を見て、ハァ、とため息を吐いた。


「頑固な所は兄妹同じ、か………」


ん!?今何かボソッと小声で……?


『今何か……?』


「いや、何も言ってない。………これでいいか、店長」


『……!!ええ、大丈夫よ、シャム』


敬語を外し、不敵に笑ったシャムに笑い返す。


「さぁ、仕事だ。まず、茶葉は何処のを買ってるんだ?」


『茶葉はね………確か………』


そんな風に、初夏の午後は過ぎていった。
_________________
シャムさんと夢主が全然絡んでないなと思ったので今回はシャムさんです

梅雨明けの天ノ川【真昼誕生祭】→←嘘が嫌いな桜の憂鬱 Part.2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (89 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
143人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - お久しぶりです!!リクエストを書いてもらってありがとうございます!想像以上でした!やっぱり真祖達の動物の姿の時は最高です!また更新待っています! (2017年7月8日 11時) (レス) id: 6e2b18dd13 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(さくらゆき)(プロフ) - ひ、久々の更新待ってました…!!本当に久々なのに文才落ちてないし相変わらずほんわかするし笑うしありのまま(ryの所分かる人にしか分からないネタw あとリリィの「説明(ry」はしましたよねの方が…今のリリィの口調はちょっとおネエさんぽいような…応援してるから! (2017年7月8日 0時) (レス) id: b267acf381 (このIDを非表示/違反報告)
兎カフェ(プロフ) - 暁さん» 了解しましたー、少々お待ち下さいね!! (2017年7月7日 19時) (レス) id: d68108c602 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 初コメ失礼します!リクエストって大丈夫でしょうか?夢主ちゃんがみんなの動物姿に気づいて可愛がるというものです。ダメでしょうか? (2017年5月23日 18時) (レス) id: 6e2b18dd13 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(さくらゆき)(プロフ) - ぜ、全然大丈夫だよ?だって兎カフェちゃんも忙しいでしょ?しょうがないって!うん、ずっと、完結するまで……いや、完結したあとも応援してる! (2016年10月15日 9時) (レス) id: b267acf381 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:兎カフェ | 作者ホームページ:   
作成日時:2015年9月9日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。