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とある【憂鬱】だった吸血鬼のお話 Part.2 ページ21

「へぇ、椿さんと言うのですか。よいお名前ですね」


「あ、どうも……」


店の中へ招かれた僕は、桔梗としばらく話していた。


「……あの、どうしてこんな森の奥で店を…?」


会話に困った僕は、ふと疑問に思った事を聞いた。


「あぁ、それは……『おかあさん…』あら、A。どうしたの?」


おそらく家につながっているのであろうドアからひょこっと女の子が顔を覗かせた。


歳は2歳くらいだろうか。


『おとうさんがよんでるよ?』


「あら、お父さんが?何かしら…ちょっと、席を外させていただきますね」


「はい」


トトトッと走って行く桔梗。


それと入れ替わりに女の子が近づいてきた。


『は、はじめまして…』


「……初めまして。君、名前は?」


『う、うさみAですっ』


緊張した顔をしている。


それが妙に可愛いくって、僕はつい女の子…Aの頭を撫でてしまった。


『ふえっ?…』


驚いたような顔をしたあと、Aは幸せそうな顔をしてされるがままになった。


撫でてもらうのが好きなのかな?


「可愛いなぁ……」


「お待たせしまし……あら、遊んでもらっちゃってすみません」


「いえ…」


『おかあさん!このひとになでてもらったの!』


「そうなの?よかったわね〜」


『うん!』


明るい、無邪気な笑顔。


まだ何も知らない人間の子供が向けてくれる無邪気な笑顔。


その顔に、僕はどうも弱いみたいで。


『またね、おにいちゃん!』


僕が店を出たときに、ぶんぶんと腕が千切れんばかりに振って見送ってくれた姿。


あの姿が、僕は見たくって。


僕は、毎日のようにあの店に通い始めるようになった。

とある【憂鬱】だった吸血鬼のお話 Part.3→←とある【憂鬱】だった吸血鬼のお話 Part.1



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(プロフ) - お久しぶりです!!リクエストを書いてもらってありがとうございます!想像以上でした!やっぱり真祖達の動物の姿の時は最高です!また更新待っています! (2017年7月8日 11時) (レス) id: 6e2b18dd13 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(さくらゆき)(プロフ) - ひ、久々の更新待ってました…!!本当に久々なのに文才落ちてないし相変わらずほんわかするし笑うしありのまま(ryの所分かる人にしか分からないネタw あとリリィの「説明(ry」はしましたよねの方が…今のリリィの口調はちょっとおネエさんぽいような…応援してるから! (2017年7月8日 0時) (レス) id: b267acf381 (このIDを非表示/違反報告)
兎カフェ(プロフ) - 暁さん» 了解しましたー、少々お待ち下さいね!! (2017年7月7日 19時) (レス) id: d68108c602 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 初コメ失礼します!リクエストって大丈夫でしょうか?夢主ちゃんがみんなの動物姿に気づいて可愛がるというものです。ダメでしょうか? (2017年5月23日 18時) (レス) id: 6e2b18dd13 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(さくらゆき)(プロフ) - ぜ、全然大丈夫だよ?だって兎カフェちゃんも忙しいでしょ?しょうがないって!うん、ずっと、完結するまで……いや、完結したあとも応援してる! (2016年10月15日 9時) (レス) id: b267acf381 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:兎カフェ | 作者ホームページ:   
作成日時:2015年9月9日 21時

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