kiss me my girl？ (ページ13)

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Ryouta ページ13

身支度を済ませ外に出る。
少し冷たい朝の空気が全身を包む。
あくびを噛み殺して、スーツのサラリーマンを横目にゆっくり歩く。

自分だけ違う時間にいるみたいだった。

駅前に着くと見覚えのある後ろ姿をとらえた。

Aさんだった。

声をかけようと近づくと、
こちらに気づいたのか先に声をかけてくれた。

「あ…片寄さん。おはようございます。」

ホットコーヒーを片手に笑顔で挨拶をする彼女。

涼「おはようございます。早いですね」

「今日は買い出ししたいものがあって」

クリスマスが近いから装飾品を買いに行くらしい。
マフラーにすっぽりと顔が包まれている姿が愛らしい。

「あ、片寄さんよかったら」

カバンからカイロを取り出して俺のコートの上着に入れる。

涼「え？Aさんが冷えちゃいますよ？」

「わたしはこれがありますから」

芸能人だし、風邪引いちゃ困るでしょ？
とコーヒーを頬にくっつけてはにかむ。

「あ、じゃあわたしいきますね」

反対側のホームに電車がきて、
人混みの中に彼女は消えた。

一瞬の出来事だったのに胸の高鳴りが止まらない。

ポケットのカイロを取り出して見つめる。
まるで彼女の笑顔のような暖かさのあるカイロ。

( …調子狂うな )

なんだか余裕がないようではずかしいのだが、
彼女を前にするとどうもうまくいかない。