+°_20 ページ21
(( ママ、尊氏くんいないんだけど ))
(( あら、美尊ちゃんのとこじゃない? ))
(( 探してくるね ))
そうだ。
どこを探しても小さかった体でどこへ潜り込んでも “ 尊氏くん ” はいなかった。
ガタンッッ……!!
置いてあるグラスは割れ、人々が次々と船内の左側に雪崩れてくる。
どうすることもできずただ大きい大人に挟まれて苦しかった時…
伸びてきた温かい “ 尊氏くん ” の腕がそこからあたしを救ってくれたんだ。
そしてあたしは…彼を好きになった。
幼馴染み、から好きな人へ変わった瞬間。
それなのになぜ。
忘れてしまってるんだろう。
ないんだろう。
分からない、分からない分からない分からない…
『分かるよ』
「…え?」
顔や姿は見えず、声だけが脳内に響いてくる。
暗闇に戻った視界から麝香の香りがしてきた。
『僕を…止めてほしいんだ。過ちを犯そうとしている僕を。
そうしたらきっとAちゃんの記憶も…』
「何を?何を止めるんですか?分かるように言って下さい」
麝香の香りがキツくなったとき、紅い炎と蒼い炎が順番にあたしを取り囲むようにつきはじめた。
もう、声は聞こえなくなっていた。
「椅子…」
中央に浮かび出た楡の椅子。
まるで座れと指示されているように、その風貌は堂々たるものだった。
ゆっくり近づき、座ってみる。
目を閉じて7秒…
7秒数えて目を開けたら戻るかもしれない。
そうしたらまた彼は悲しそうな顔をするのだろうか。
砂時計を上げなきゃいけない。
化石たちを目覚めさせなきゃいけない。
きっとこの世界は、あたしのためでもあるんだから。
数え始めて5秒後。
あたしは目を開けた。
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カジャリア(プロフ) - 0307yukieさん» 突然の報告で本当に申し訳ないのに、そんな温かい言葉をありがとうございます。また春に… (2018年2月1日 22時) (レス) id: 8e6c7311c0 (このIDを非表示/違反報告)
0307yukie(プロフ) - 受験勉強頑張ってください〜!春に笑って帰って来れることを楽しみにずっーと待ってます!体調に気をつけて頑張ってください!無理は禁物ですよ〜! (2018年2月1日 22時) (レス) id: fbf429d456 (このIDを非表示/違反報告)
カジャリア(プロフ) - winter,10さん» ありがとうございます^^ 設定が設定で私もなかなか悩むのですが、期待を裏切らないように頑張ります (2018年2月1日 7時) (レス) id: 8e6c7311c0 (このIDを非表示/違反報告)
winter,10(プロフ) - こんばんは!更新されるたびに見せてもらってます!本当のトドメのキスもこちらの物語もいつも気になってます!(笑)この作品好きです!!!これからも読んでいこう思います!(笑)体調など無理せずに頑張ってください!!!応援しています! (2018年1月31日 23時) (レス) id: 34ea94a7f0 (このIDを非表示/違反報告)
カジャリア(プロフ) - りんさん» ありがとうございます。作者もゴールが見えておりません笑 (2018年1月29日 7時) (レス) id: 8e6c7311c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カジャリア | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kajya1734
作成日時:2018年1月15日 14時