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+°＿18 ページ18

今見たものは非常に受け入れがたかった。



おかしいのはあの人じゃなく、あたしの記憶だったんだから。
結婚とまで言っていた。



何でそんな大事な人をあたしは忘れてしまってるんだろう。
この世界はあの人があたしに自分を思い出させるために作った空間…？



唇が触れればここに来る。
さっきの映像も、砂時計もあの人の言葉も。



全部故意で…



世の中には第六感と言われる力や不思議なものを持って生まれてきた人達がたくさんいる。
今までそれを頭から否定してきたけれど、やはりこんな力はあるのかもしれない。



だってそうでもないとこの空間、説明がつかない。
あるようでない場所。
どこにも存在しないのにある場所。



彼に話を聞きたいと思った。
事実を見てしまった今、あたしは真実も聞かなくてはならない。



どうすれば戻れるの…



すると、暗闇からボォー…と何かが浮き出てきた。
別に怖いわけではない。
徐々にこっちへ向かってくるそれは足音もちゃんとあった。



ｶﾂﾝ…ｺﾂﾝ…



ｺﾂ、ｺﾂﾝ……



執事ではない。
この人は…



彼だ。



あたしをここに送った本人ならここに来るのは自由自在なのか。
慌てて駆け寄る。



「あの、」



足はピタリと止まった。
話しかけてくれるものだと思っていたあたしは、次の言葉を用意しておらず困った。



彼も…あたしのことなど知らないかのように一瞥して黙っている。



違うの？尊氏さんじゃないの？



『…どこかで会ったでしょうか？』

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