彼の秘密-SEHUN- (ページ1)

今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:25,938 hit

○彼の秘密１話ページ1

『A、おはよう。』

「おはよ…………」

『こら、二度寝しないの。』

「まだ眠い………」

『デート、しなくていいの？』

「する……………」

『じゃぁ起きて、朝食食べよ？』

「ん………起こして……」

どんなに朝が早くても
優しくて甘い彼の声なら
幸せな気持ちで目覚められる。

『ほら、ちゃんと捕まって。』

「ん……」

首にきつく巻きついて
腰に足を絡めれば
軽々と私を抱き上げてくれるセフン。

「ぽっぽ……」

『んっ』

私のお願いだってすぐ聞いてくれる。

「もっと。いっぱい。」

『だめ、歯磨いてないから。』

「しゅん………」

『後でいっぱいしてあげる。』

もう一度だけチュッと唇にキスをすると
落ちないようにそっと椅子に座らせてくれた。

向かい合ってテーブルに座れば
ただの食パン一枚だって、
豪華な朝食に変わる。

高校を卒業してずっと離れていた彼が
やっと帰ってきて、今、私の前に座ってる。

これは夢じゃないんだよね。

幸せで、嬉しくて、
溢れそうな涙をグッと堪える。

「セフナ」

『ん？』

「このパン、すっごく美味しい。」

『もちろん僕が作ったからね。』

溢れ出す笑顔に満たされた心。

高校の時も今も変わらない。
私達の物語はまだ始まったばかりなんだ。