私、冷たい幼なじみと同居します!! T.F

Step＊1 太輔と仲良くしたい！ ページ1

【Aside】

11月も下旬に入ったある日の休み時間。


「あぁ〜……いいな、小説の中の女の子は。私もこんな恋
したいな……」





私はお気に入りの小説を閉じながら、つぶやいた。




美「A、本当、恋愛小説好きだよね〜……しかも、幼なじ
みとの恋愛の話ばっかり」



そんな私を見て、同じクラスで親友の中田美海(なかなみみ)ちゃんが
あきれたように言う。


「だって〜……」


私はそう言いながら、ふと自分の席で寝ている、ある人
物に目を向けた。





美「なるほどね、Aも小説の主人公みたいに、藤ヶ谷とそん
な恋愛したいってわけね！」


納得したように、うなずく美海ちゃん。


「ち、ちがうよ！」



そう言ったけど、図星だったりする。








私、桃井A。
バリバリの現役高校1年生です！

黒髪ロングで化粧もなにもしていない、普通の女子。

でも、ちょっとおっちょこちょいで、よく“天然”とか
言われるけど、そんなことはない……はず！




そして、私の幼なじみで同じクラスの藤ヶ谷太輔。

容姿端麗(ようしたんれい)な茶髪のスラッと背の高いモテ男。みんなから
は“実写版王子様”なんて呼ばれている。




家がとなりで親同士の仲も良くて、小さい頃はよく遊ん
でいた。

小学生ぐらいまでは、とても仲よしだったんだけど……。


中学に入ったあたりから、まったくと言っていいほど話
さなくなった。







太輔に避けられるようになってしまったんだ。

私以外の人とは話すんだけどね……。

どうして私だけ……？



でも、そんな太輔に小さい頃から恋してます！

気持ちを伝えた事はないけど……。




太輔と小説みたいな恋愛できたらいいなぁーなん
て、バカみたいに思ってます。




手つないで登校したり、デートしたり、抱き合った
り……そんな恋愛に憧れを抱いているんだ。

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