強風【Daiki.K】 ページ36
5時間目。授業に出る気にもなれなくて、一人で人のいない階段を上る。
鉄の無機質な音と遠くから聞こえてくる人の声とが混ざって聴こえてきた。
「.....はあー。疲れた。」
朝から来たくもない学校に来させられて、好きでもなんでもない友達擬きに話を合わせて頷いて。
好きでもなんでもない教科の係の仕事をして、特に他にはやることもなくて、好きな人も友達も彼氏もいなくて。
何を楽しみに生きてるのかもよくわからない。
見下ろした景色は良好で、奥には町全体、真下には野球部が綺麗に整備したグラウンドが見えた。
ワイヤレスのイヤホンをポケットから出して、耳に突っ込む。
.....けど、イヤホンは充電切れ。
「あーーーあ、全部ダメだ。」
風呂に入るときみたいに、靴と靴下を脱いで。屋上の手すりを越えてへりに座る。
ここから跳んだら、ニュースになるかな。
この地獄みたいな学校を変えてくれるかな。
いっそ遺書でも残してこの学校のせいで私の人生はめちゃくちゃになった、とか、受け入れてくれない学校が悪いなんて言えば、ここはどう対応をとるんだろう。
一人で考えて笑って、風が吹くたび死に直面して。
明日なんて、来なければいいのに。
突然、ドアノブが回って軋んだような音がした。
教師が来たのか、あるいは私と同じ目的の人が来たのか。
まあどっちにしろどうでもよくて、これまでと同じように風に吹かれていると。
「...あれ。落ちるよ？」
「.....まあ、死ねたらラッキーだなって思ったんで。」
ゆっくり振り返ると、蛍光ピンクの髪の毛をなびかせてこちらを見る先輩、恐らくはこの学校で1番派手で1番有名な先輩の影があった。兼近大樹先輩、高等部3年の先輩。
「へー。そんなこと言っててもしかしたら俺に押されちゃうかもとかは思わないの？」
「そんなことする人じゃないってクラスの女子から伺ってます。」
「ありゃ、俺ちょっとはファン増えてきた？」
「.....学校見渡してみれば貴方のファンで溢れかえってますよ。」
「へへ、そういう後輩ちゃんもファン多いじゃん？知名度エグいよ、3年でも。後輩ちゃん、全国模試一位の子でしょ？」
「.....知名度エグいですね、ほんとに。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 150人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「芸人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かえで(プロフ) - 影片りなさん» 了解でございます！ちゃんと書きますのでお待ちください◎！ (2021年2月17日 23時) (
レス) id: a1f09f2903 (このIDを非表示/違反報告)
影片りな(プロフ) - ゆっくりで大丈夫です。見取り図の盛山さんで彼女が風邪引いて盛山さんが看病する話が見たいです。宜しくお願いします。 (2021年2月17日 23時) (レス) id: 537ffb3acd (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - 影片りなさん» 考えてあるお話が多いので遅くなってもよろしければお願い致します！ (2021年2月15日 18時) (レス) id: 90d3504a95 (このIDを非表示/違反報告)
影片りな(プロフ) - リクエストしても、いいでしょうか？ (2021年2月14日 23時) (レス) id: 537ffb3acd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みやべ | 作者ホームページ：mobile.twitter.com/miyave_uratsuku
作成日時：2021年2月6日 2時
