腕の中の女神【Yuki.M】 ページ28
「 腕の中の女神 」
___Yuki.M
「うわっ、.....」
皆川勇気、ただいま絶賛ピンチです。
腹が痛すぎる。
高校生にもなってこんなことに耐え切れないのもどうかと思うけど、教室の入り口には悪ノリが大好きな男子勢の皆さんがいるし、女子なんか俺のこと見てもないし。
まあ、嫌われキャラだから仕方ないよなぁ、なんて思った。
腹痛ってあんま症状酷くないように見られがちやけど、痛いときはめちゃくちゃ痛くて死にそうなる。
なんで？なんでこんなときに？もうすぐ授業始まるし、次数学やし.....マジでついてへんな俺。
こんなんやったらもっとちゃんと皆に愛されるようなキャラになっときゃよかったなあ.....。
痛みが増してきはじめて、廊下に座り込む。
もう廊下には誰もいなくて、ちょうどよかったと思えばそうなんかもしれんけど、同時に誰も助けてくれないってことでもあるってことに気付いて、高校生男子ながらに泣きそうになってたとき。
「.....みながわ？」
「.....、え」
上から降ってきたのはクラスの、そこまで絡んだこともないような女子のものだった。
クラスの中ではお笑い担当でツッコミ役に回るような、成績優秀で運動は少しだけ苦手な剣道部主将の女の子。
田村Aさん。
入学当初からずっと同じクラスで、ちょっと気になるかなくらいには思ってたけど悪ノリ勢の中の誰かと絶対付き合ってると思うし、
年下にも女の子にも人気のある彼女が誰かと付き合ってないわけもなくて、諦めてた。
「大丈夫？」
「田村さん、授業.....」
「授業なんてどうでもええねん。どこ痛いん？頭？腹？」
「.....腹」
「保健室いっか」
痛すぎて､声も出すのも億劫になって頷く。
向こうから来た数学の教師のところへ小走りで行って、俺の病状かなにかを伝えてまた戻ってくる。
「.....痛いねんなあ」
さすが剣道部ともいえよう小さいけど傷だらけの手のひらで俺の背中をさすってくれる田村さん。
女神か。
「今度からは絶対誰かに言いや、助けてくれる人おるから。.....多分」
「う゛ん゛っ」
「は、え！？なんで泣いとるん！？きつすぎた.....？」
「いや゛、田村さん、優しいなって」
「んなことかい」
「だって、こんなこと、誰もしてくれたことないし、」
「.....わかるよ。」
「へ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 150人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「芸人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かえで(プロフ) - 影片りなさん» 了解でございます！ちゃんと書きますのでお待ちください◎！ (2021年2月17日 23時) (
レス) id: a1f09f2903 (このIDを非表示/違反報告)
影片りな(プロフ) - ゆっくりで大丈夫です。見取り図の盛山さんで彼女が風邪引いて盛山さんが看病する話が見たいです。宜しくお願いします。 (2021年2月17日 23時) (レス) id: 537ffb3acd (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - 影片りなさん» 考えてあるお話が多いので遅くなってもよろしければお願い致します！ (2021年2月15日 18時) (レス) id: 90d3504a95 (このIDを非表示/違反報告)
影片りな(プロフ) - リクエストしても、いいでしょうか？ (2021年2月14日 23時) (レス) id: 537ffb3acd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みやべ | 作者ホームページ：mobile.twitter.com/miyave_uratsuku
作成日時：2021年2月6日 2時
