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「Aさんや。」
「はあい。」
「さっき言うとった、一人だけモテたい奴って誰なん。」
「ええ、わかんないんすか。」
「うん。仲ええんやからさ、教えてくれへん?」
「かわいい。じゃなくて。仲ええのにわからへんのんですか?」
「わからん。見当もつかん。」
「もう。じゃあ、九条さんにだけ、教えたげます。」
嬉しかった。
九条さんだけ、っていう言葉ももちろんやけど、Aにすきな人がおるってわかっても教えてもらうだけで嬉しかったんかもしれん。
僕、こんなに本気で人のことすきなったことあったんやろか。
僕、こんなにアイサレタガリやったやろか、?
.
「九条さん、ですよ。」
.
「.....ほんまに言うてんの。」
「はい。」
「こんな、女の子と遊んでばっかきた男でええの。」
「最初は私も馬鹿だと思いましたよ。絶対一番にはなれないって、かといってどうにかなれるもんじゃないって。私は、ただの後輩なんだろうなって。」
「んな事ないよ。」
必死、やったと思う。
魅力で溢れてる、変な大人っぽさのあるAが、
僕はすきやから。
それを、Aにも肯定してほしかった。
「.....すきやで、僕も。」
「ほんまに言うてんすか?」
「パクんなよ。」
どぎついラッキーを口から滑り落とし、僕の目を見るA。
その変な大人っぽさのある目に不思議に射貫かれて。
なんて言うんかな、って、待ってたら。
.
「スゥゥゥウウウゥウウッ、ハアアアアァァァアアァア。ああ、九条さんの匂い」
「え?」
一番最初は、深呼吸やった。
「九条さんね、いつも煙草の匂いと違う匂いがしてたんですよ。毎日毎日違う匂い。」
「.....うん。」
「それが私の匂いになるってこんなにキモチええもんなんやなあ、って。今、九条さん、これまでのいつよりもエエ匂いしてます。」
こんな顔するんや。
悪い大人っぽさを全面に出したその艶やかな顔に、これまでのいつよりも激情を憶えた。
fin.
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かえで(プロフ) - 影片りなさん» 了解でございます!ちゃんと書きますのでお待ちください◎! (2021年2月17日 23時) (レス) id: a1f09f2903 (このIDを非表示/違反報告)
影片りな(プロフ) - ゆっくりで大丈夫です。見取り図の盛山さんで彼女が風邪引いて盛山さんが看病する話が見たいです。宜しくお願いします。 (2021年2月17日 23時) (レス) id: 537ffb3acd (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - 影片りなさん» 考えてあるお話が多いので遅くなってもよろしければお願い致します! (2021年2月15日 18時) (レス) id: 90d3504a95 (このIDを非表示/違反報告)
影片りな(プロフ) - リクエストしても、いいでしょうか? (2021年2月14日 23時) (レス) id: 537ffb3acd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みやべ | 作者ホームページ:mobile.twitter.com/miyave_uratsuku
作成日時:2021年2月6日 2時