僕と君の間｡【谷山紀章】 (ページ34)

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#33 闘志ページ34

Kisho Side

紀章｢連れてこなかったけど.....大丈夫ですかね?｣

悠哉｢心配ですよね.....Aは昔からああなんですわ｡大丈夫大丈夫って言って､我慢して､無理して.....何しはってんやろって思います｣

ホワイトデーの時の､あの引き攣った表情｡

普段弱音を吐かないような性格｡

無理せずに生きられるわけがない｡

紀章｢ま､東条さんもいるし.....大丈夫か｣

＊＊＊＊＊

飲んで数分｡

悠哉さんの携帯が､着信を知らせる｡

｢ん.....?｣

どうやら心当たりのない番号らしく､出るのに迷う悠哉さん

何故か俺はこの時､物凄い自己嫌悪に襲われた

悠哉｢もしもし.....はい｣

悠哉さんの表情が､戸惑いから驚きに変わる｡

悠哉｢え.....?どこの.....東口､ですか.....はい｡すぐ向かいます｣

｢Aが.....病院にいてはるらしいです｣

Aに何があったのか｡

幸い､その店から病院までは近かったので､全力で道を突っ切って病院に向かった｡

悠哉｢水奈月!!｣

悠哉さんが受付に着くなり看護師さんに向かって叫んだため､看護師さんは驚く素振りをみせる｡

悠哉｢.....水奈月Aの病室まで､案内してください｣

｢水奈月､A様は.....こちらです｣

病室の扉を開けると､すぐ近くのベッドにAが寝ていた｡

｢意識は回復すると思いますし､お仕事に支障はないかと思われます｡しかし.....｣

そこで医師が口篭る｡

｢記憶喪失という可能性も､0ではありません｣

突然､俺の頭の中で走馬燈が回り出した｡

あぁ､何だよ――Aとの想い出が､頭を巡る｡

走馬灯なんて.....記憶失くすのは､俺じゃねぇのか?

あぁ､また俺は大事なモノを失うのか｡

Aと､0からなのか｡