君と過ごす季節に 5 (ページ16)

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「ココア、あげる」

なにかをしていた岸くんが顔をあげて笑う。

岸「ありがとー、」

プルタブを開ける手を止めて、私に問いかける。

岸「Aのは？」

「売り切れだったの、」

私なりの優しさ、気づいて欲しい。

岸「あち、」

顔を一瞬歪めてまたすぐに戻る。

岸「ココアってさ、熱過ぎたら最初味わかんないよね、」

あったけーってカイロがわりに手で包む。

さっきからちょっとその手が気になってたり、

てか、じゃあ飲むな！

岸「好きです」

何度も聞いた、

何度も言ってくれたはずの言葉なのに、

私は、岸くんが言う、【好き】に慣れない。

岸「俺ね、もう待てない」

不安になるからさ、って聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いて、

静かに、触れるだけのキス。

好きが重なる。

こんなこと、笑顔で岸くんに言わせちゃったんだ、

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