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会話が済み、

グラスのお水を口にする仕草ですら見つめられた。







岸くんのその視線を、優しさではなく意地悪だと思った。







照れる私をからかうように微笑んでは、

覗き込むためにわざわざ肘をつく。







ふと見せつけてくるかのように伸ばした指先が、

テレビ越しで見たあの頃のように綺麗で憎らしい。









自分のファンのことを、これだけ愛しそうな眼差しで見つめることが出来るなんて、

岸くんは、天性のアイドルだ。









だけどその内側にある一人の男性としての魅力が、

隠し切れないとばかりに溢れ出ては、私の心を締め付ける。









「…………あの、」





「……はい」




「や、」









何かを訂正されたのも束の間、



岸くんが少しずつ距離を詰めてくれるかのように、

近付いてくる。








そのまままるでファンに優しく触れるかのよう、手を伸ばされた。









狭い密室な空間で、

二人きりの秘密を共有し合ったからか、

さっきとは違う空気が流れていた。









大事なものに触れるかのように、髪を撫でられて、





顔の産毛まで、見つめられているような気がした。









そしてそのまま、自慢の綺麗な手が私の右手に舞い降りては、


静かに、絡められた。









アイドルの衣装を着ている岸くんと、

ただの握手だと自分の心に言い聞かせた。





岸くんにとっても同じはずだ。





憧れの人だから、

何を考えているか分からないくらいでちょうど良かったけれど、



変化を隠さないその表情に、行動も心も、重ねたくなってしまって。









エスカレートすると悟った時には、スイッチは既に押されていた。

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さくら - とても良い作品でした。自然と物語の最後には涙があふれてきました。突然ですが、続編の方を見たく、検索してみましたが見つからず、どのようにしたら見られますか? (2018年12月15日 16時) (レス) id: 0ab5784288 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:踊れる人大好き芸人 | 作成日時:2018年7月20日 10時

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