悪戯

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今日から新しい会社。

大学を卒業して、特に夢もない私はありきたりな、OLってやつになった。


「本日からお世話になります」


私が挨拶をしたら次は君！次は君！て、いろんな同期の子が挨拶をしていく。

新人の挨拶なんて、先輩からしたらさほど興味のあることでもないでしょうに。目の前に立っている先輩達は「早く終わって」とでも言いたげな目でぱちぱちと手だけを合わせていた。


最後は君ね、って紹介された男の子、

さっきまでだるそうな拍手をしていただけの先輩たち、というか女性軍達が急に目の色を輝かせたのを私は見落とさなかった。



「え、かっこいくない？」
「やばいやばい！」

ってコソコソと耳打ちをしている。


チラって端に立ってる男の子を横目に見たら…まあたしかに。じゃがいもに例えたとして、他が男爵芋ならこの子はメークインみたいな。


緊張してるのか、少しだけ目をチラチラと動かせる素振りをしたメークインは、じゃない、端っこの男の子は「あ、もういいですか？」って言ってスラスラと自己紹介を始めた。



「平野紫耀です、いろいろと分からないこともあってお世話になると思いますがよろしくお願いします。」


ペコリと頭を下げた後にキョロキョロ先輩達を見渡してニコって笑う。うわぁ…、苦手なタイプかも。


先輩達はキャー！かわいー！宜しくしちゃうー！なんて騒いでる。「静かに、仕事にもどれ、解散」なんて少しだけ声を荒らげた部長の言葉を無視して、先輩たちはタタターって平野くんのとこに駆け寄る。


すぐに囲まれて「彼女いるの？」「仕事わからなかったらきいてね」なんて質問攻めにあっている彼は戸惑う素振りなんてひとつもなくて、こうなって当然！だって俺だもん！みたいな顔をしているように見えた。


……あぁ、やっぱり苦手だ。

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