○ 高嶺の花男子 ◎ Yuta.K

△ 恋なんて 10 ページ11

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「 泣くなって 」



私の隣に座って、涙を掬(すく)う。

その優しさにまたポロポロと涙が落ちた。


なんで来たの、？
なんでここにいるって分かったの？

聞きたいことは山ほどある。




でも、私が問う前に彼が言葉を発した。





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「 あのさ、俺 好きな奴いるんだよね 」



一つ一つ、大切に 。

岸くんは言葉を紡(つむ)いでく。






『 そ、そうなんだ 』



( 知ってたよ )


涙を我慢して頷く。





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「 結構前から好きでさ ､ 」


「 ずっと目で追ってた 」



『 う、ん 』




途切れ途切れになりながら、相槌を打つ。


ふと隣を見てみた。

彼の瞳には、遥か遠い､澄んだ青空が映っている。

____ 綺麗だ 。


同じものを見ているのに、
どうしてこんなにも違うのだろう。





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「 その子はさ、優しくて皆に好かれてて 」


「 でもちょっと鈍感で､繊細で。」


「 今にも壊れちゃいそうなんだけど、変に気が強くってさ 」




今までに見た事のない、
柔らかい笑みを浮かべて喋る岸くん。


正直、びっくりした。

岸くんってこんな風にも笑うんだ..


彼にここまで言わせるってことは、相当いい子なんだろうな。




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『 そ､その子、そんなに想われてるなんて幸せだね 』



声が、震える。

やだよ、惚気(のろけ)なんて聞きたくない。






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「 ... そうだと嬉しいんだけど？」



岸くんは少しの間のあと、

ニヤ､ と意地悪そうに笑った。





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... 最後の強がり。


好きな人には幸せになってもらいたいの。




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