奇跡の雨 3 (ページ10)

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翔「確かに、あり得るかもしれない。」

和「…ですよ、ね…」

世の中、"絶対に"無いとは言い切れない。

100％なんてあり得ない。

だけど

翔「例え智くんが巻き込まれなかったとしても、智くんは和也くんが傷付いた事に対して深く傷付くんじゃないかな。

智くんが和也くんを身を呈して守ったってことは、それだけ和也くんの事を大切に思ってるんだ。

今、和也くんが智くんの事で傷付いているのと同じように、智くんも傷付くと思う。

特に、和也くんが今秘密にしている事。」

和「っ…」

翔「俺も智くんも、その秘密が一体どんなことかは知らない。

けれど、家族に心配させたくなかったからの秘密だということは分かってる。

…家族にされる秘密ほど、悔しくなることはないんだよ。

その秘密が例え、家族を思っての事であっても。」

それは俺にも兄弟がいるから分かること。

信頼されて無かったのかという唐突な孤独。

もし俺が、智くんの立場だったならと想像した上での考え。

たぶん今、智くんは後悔してるはずだから。

和也くんを、本当の意味で守れなかったことを。

翔「和也くんは、自分を守る為に智くんが嘘ついてたら…複雑な心境になるだろ？」

和「…はい。」

翔「なら、明日からは後悔しないで。

智くんに笑顔見せよう？

たぶんそれが一番、智くんが安心するから。」

俺の長い話のおかげ(？)でいつの間にか家の前に着いていた。

それに気付いて立ち止まった和也くんが、深呼吸して少し笑う。

和「分かりましたよ。

兄さんの為に…後悔はしません。

きっと僕も兄さんの立場だったら同じことをするでしょうし。

…ありがとうございます、翔ちゃん。」

ふふっと笑った和也くんは、やっと晴れた顔をしていた。