奇跡の雨 3 (ページ6)

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掠れた小さな声。

ハッと顔を上げた和也くんが長く息を吐いた。

和「にい…さん…」

うっすらと目を開いている智くんが目を細めて笑う。

智「泣き虫だな…心配ねぇよ…」

和「心配しますよっ…僕を守ってっ…」

智「大切な家族だから…守るのは当たり前だろ…」

思っていたより元気そうな様子の智くんに詰めていた息を吐く。

松岡さんが先生呼ぶぞ、とブザーを押した。

斗「大宮さん、大丈夫ですか…」

智「ん…斗真…？わざわざ来てくれたの…？」

昌「そりゃ来るだろ。あまり心配かけんな。」

智「松岡さん…すみません…」

ふふ、と智くんが笑う。

ちょうどその時先生が入ってきた。

四郎「おはようございます、大宮智さん。

智さんの担当医の舞賀四郎です。

気分はいかがですか？

気持ち悪いとか、ありませんか？」

智「はい…ありません…」

四郎先生が安心したように頷く。

ざっくりと入院する必要があることやCT検査をする必要があることを伝えた四郎先生が俺たちの方を見る。

四郎「そろそろ面会が終了の時間ですね。

CT検査は面会時間終了後にするとして、その前に入院等の資料に目を通して頂きたいのですが…」

和「僕が。翔ちゃんはギリギリまで兄さんの側に居てくれますか？」

翔「！わ、わかった…」

小さく頷くと微笑んだ和也くんが先生と共に病室を出ていく。

松岡さんと生田さんが俺を見た。

斗「じゃあ、俺たちも邪魔になる前に帰ります。

何か必要な物とかあれば、遠慮せずに言ってくださいね。」

昌「大宮を頼む。…じゃあ、また来るな。」

智「ありがと…松岡さん、斗真…」

翔「ありがとうございました。」

二人も病室を出ていって、智くんと二人きりになった。