奇跡の雨 3 (ページ3)

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昌「生田、お前なぁ…」

松岡さんが呆れたように息を吐いた。

その瞬間、手術中の点灯が消え、少したって扉が開いた。

カラカラと表れたストレッチャーに乗せられていたのは、目を閉じている智くんだった。

和「智兄！」

左足を庇いながら智くんの側による。

智くんは頭に包帯が巻かれていて、すやすやと眠っているようだった。

昌「大宮…」

「大丈夫です。今は麻酔で眠っているだけですから。」

微笑みながら話しかけてきたのは手術を担当したであろう医師。

首に掛けられた名札には"舞賀四郎"と書いている。

四郎「頭の傷は、そこまで深くは無かったので幾日かで塞がるかと思います。

ですが、なにぶん様々な所を強く打っているので、大宮智さんの目が冷めてからCT検査を行いたいと思います。

また、入院を致しますので弟さんか、今回に限り同居人さんにでも書類に目を通していただきたいです。」

和「わかり…ました……」

そっと智くんの手を握った和也くん。

その肩に、四郎先生が手を優しく乗せる。

四郎「大宮和也さん、あなたもお兄さんと同様に階段から落ちています。

お兄さんが目が覚めるまでの間に、安心を買うためのCT検査を受けていただけませんか？」

和「…はい。」

和也くんが俺たちを見る。

和「兄さんに付いていてくれませんでしょうか…

目が覚めたときに、独りなのは不安でしょうから…」

斗「わかりました。」

昌「任せてくれ。」

弱々しく笑った和也くんが、四郎先生と共に歩いていく。

同じく、看護師さんが押し始めたストレッチャーに、俺たちもついていった。