奇 蹟 [コード・ブルー]

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ずっと憧れていたドクターヘリのあるこの病院に勤め始めて一か月目。

毎日がバタバタで、未だに慣れないこの勤務状況にはめまいがしそうなほど。


大学卒業後、二年間勤務していた病院では先輩ナースにいびられ罵声を浴びせられ、死ぬんじゃないかってくらい体にも精神面にも鞭打って生きてきた。

それに比べてここはドクターもナースもすごく優しい。もちろん優しいだけじゃなくて厳しい部分もあるんだけれども、なんていうのかなぁ...。

前回勤務していた場所がどれだけ酷かったか、この翔北がどれほどいい場所なのかがハッキリしすぎていて実感がすごい。

「かっこいいなぁ」
「ヘリ、好きなの？」
「あ！！冴島先輩！！」

渡り廊下から見えるドクターヘリを見つめて、ふとこぼしてしまった独り言を拾ったのは私の尊敬する大先輩の看護師。

なんていったって、冴島先輩はフライトナースなんだから。

「はい！ヘリ、大好きなんです」
冴島「そうなの。フライトナース志望？」
「いいえ、私頭悪いので」

えへへ、と笑えば冴島先輩は首を傾げた。

冴島「でも、南ちゃん首席卒業だって...」

フライトナースになるのは、とても険しい道。取らなきゃいけない資格だって山ほどある。

「いやいや、たいしたことないですよ〜」

にっこりと笑顔で返せば、何か悟られたのかそれ以上は聞いてくる様子はなかった。

冴島「もしよければ、今度一緒にヘリの確認作業する？」
「え！！いいんですか？？」

思わず自分でも驚くくらいの食いつきをしてしまった...


冴島「それくらいいいわよ。また誘うわね」
「ありがとうございます！！」

思いっきり頭を下げたら「そんな大げさな...」と笑われてしまった。


うーん...

それくらいうれしいことなんですよ、だって。

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