これはキセキの物語。【桃】 前編

・動かない ページ28

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翌日目が覚めて、ゆっくりと顔の向きを変えるとサクマが居ない。



え？どこ？

いつもなら勝手にベットに入ってきてるのに。


アンドロイドであるサクマに睡眠は関係ないけど、私と同じ生活リズムを保つために一緒に休むようにしてるみたい。




ベットから出ると、ちゃんといつも着ている寝巻きを着ていたことにも驚いた。


こんなお世話までしてくれるのね。






「サクマ？」





立ち上がって部屋を見渡すと、ソファでほとんど隠れてるけどサクマのふわふわの後頭部が僅かに見えた。



なんであんなところに？


そっと近付いて覗き込むと、ソファに持たれる感じで床に手足を投げ出してコテンと頭を下げたサクマが居た。




「サクマッ！？」



瞼も閉じたままで頬に触れたら、昨日感じた温もりはすっかり冷えきっている。


これじゃあまるで死んでいるようだ。




「サクマッ」



肩を掴んで揺すってみてもピクリともしなくて、不安になって目に涙が浮かぶ。

なんで？どうして？



こういう時の説明書ってのがないのが悔しい。


「あ、そうだ！」



ネットで調べれば大抵の事は分かるはずと思い急いでテーブルの上で充電していたスマホを手に取った。


そこで一瞬あれ？と思う。



スマホって毎日充電してるよね？

使った分充電なくなるから……




スマホとサクマを交互にみて、「もしかして」と調べてみたら、どうやら私の予想は当たったみたいで、アンドロイドもやっぱり充電する必要があるみたい。



「でも充電器なんてないし」




このままサクマが眠ったままなんて嫌だ。


考えるより行動しろ！と、急いで着替えてあのアンドロイド販売店へと向かった。







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