・萌え萌えサクマ ページ14
・
「じゃあこれ買おっか」
サクマの趣味が変な方へ突き進んでるような気もしなくはないけど、本人がとても嬉しそうなのでお洒落な服たちの中に紛れ込ませてあげよう。
と思ってカゴをレジへ持って行こうとするのに、サクマは急に大人しくなった。
「どうしたの?」
「これ全部買うの高くないの?」
ほほう。
流石に計算はできるのね。
高いよ。服に帽子に小物に靴も買ってるからね。
だけど君は気にしなくていい。
「大丈夫だよ。結構貯金あるんだ私」
アンドロイドでも遠慮ってするんだね。
そちらの方が驚きだわ。
サクマはちょっと考えてたけど、私がニコニコ笑ってるのを見て安心したのか、サクマもニコッと笑って私の手からカゴを奪うと「早く!」と、軽快に駆けていく。
「うふふ、玩具を買ってもらう子供みたい」
.
「ありがとう!A!」
「どういたしまして」
大量の袋を両手で軽々と持って、ペコッと頭を下げてる。
さてそろそろお昼時かな、私のお腹がグーグー鳴ってるよ。
「サクマ」
「……」
「サクマ?」
何かを見て停止中で、ピクリともしないから一瞬慌てたけど「A」と、私と目を合わせることなく呼んだ。
そして両手で持っていた荷物を片手に纏めて、空いた手を私に出してくる。
綺麗な手に見惚れていたら、また名前を呼ばれて今度はサクマを見上げた。
「手、繋ご」
「え」
ショーウィンドウに映るカップルが視界に入って、楽しそうに手を繋いで通り過ぎて行くのを目線だけで見送った。
ああ、このカップルを見て固まったのね。
きっとサクマは恋人を演じようとしてるから、カップルを見ると瞬時に反応してそれを吸収するんだろうな。
今回は"手"だったんだろう。
「ダメ?」
「…ううん、繋ごう」
差し出された大きな手を握る。
やっぱり体温は感じなくて、嬉しそうに微笑む人間らしさがあるのに、やっぱりアンドロイドなんだと思い知った。
.
948人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - tbmrrkqq8さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただいてるなら頑張って書きます!!ほんとこちらは空想の中の物語として楽しんでもらえたら良いなって思います。後編も読んでもらえるように頑張ります☆ (2020年10月14日 23時) (レス) id: e8f02d2b5a (このIDを非表示/違反報告)
tbmrrkqq8(プロフ) - 続き気になります!!いつも更新楽しみにしてます!お話の内容は現実世界から離れているのに引き込まれてしまいました。これからも応援してます (2020年10月14日 20時) (レス) id: 0465c5231f (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます!!アンドロイドと特殊なのでどうかなと不安なとこもあったので嬉しいです!!やっていた事を止めてまで読んで下さってる!?それは頑張って更新しなきゃですね!!頑張ります(^^) (2020年10月8日 19時) (レス) id: e8f02d2b5a (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - ゆきんこさんの作品、どれも大好きですが、今回のは特に刺さりました…もう毎日の楽しみで更新されるたびに、それまでしてたこと手を止めて世界に浸ってしまい好きです!これからも応援しています。 (2020年10月7日 17時) (レス) id: b899b04b91 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - まりんさん» まりんさん!コメント有難うございます!!あんな暖かそうな人を冷たい機械にしてしまったんですけど、少しずつ佐久間さんらしくなっていくのでそこを楽しんでもらえたらなと思ってます(^^)私も読んでもらえて幸せです!! (2020年10月7日 13時) (レス) id: e8f02d2b5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年10月5日 21時