・2 ページ13
・
サクマ自身の支度と言えば服を着替えるくらい。
上着はボロボロで捨ててしまったから、これまたデカめの私のパーカーを着せてズボンはサクマ自身が履いていたものだ。
「よし、出ようか!」
「待って!」
「ん?」
さっきまであんなにまだかまだかと聞いてきたサクマからストップがかかって、今度は私が拍子抜け。
なに?と振り返ると、肩を持たれて座るように促される。
「せっかくのデートだからね、可愛くしよう!」
「え? え?」
サクマが私のメイク道具入れから持ち出したクシを持ってストレートの髪をとかし始めたから何事?
戸惑いつつサクマの好きにさせておけば、彼は手際良くお団子ヘアを作ってくれた。
「はい!できあがりー! ちょー可愛い!」
「ええ! なんでこんなことできるの?」
「昨日観たテレビでこうやってたの。Aがやったら絶対可愛いと思ったんだー!」
「うっ、」
白い歯を見せて満面の笑顔が鏡越しに見つめてきて、可愛い可愛いと褒めてくるもんだから、普段しない髪型でも案外似合う?って調子に乗ってしまうじゃん。
私は可愛いキャラじゃないんだけどなー。
.
バスに揺られて街へ出て、サクマに似合いそうな服を選ぶ。
前の彼氏と別れてから三年程経つから、自分の隣に男性が居るってのが久しぶりすぎてちょっと変な感じだ。
「サクマはどんなのが良いの?」
「んー、これとか好き」
サクマが選んだ服は、彼には割とオーバーめな服ばかり。
試着させてみたら、オーバーすぎじゃないかと思っていた服たちをサクマはとてもかっこよく着てみせた。
「似合う〜?」
ペロッと舌を出して顎を突き上げて挑発的に笑う姿は決まってる。
「うん、かっこいい」
「にゃは〜ん! サクマ照れちゃう!」
クネクネしだした。
あれ? さっきまでの男らしさどこへ行った?
意外と服に興味があったのか色々なものを試着したり小物を身につけてみたりして、女の子並に長い買い物になった。
「Aこれ!」
「なに?」
サクマが駆け寄って来て後ろ手に持っていた何かをジャジャーンと勢いよく突き出してきたから驚いて身を引いた。
ニコニコのサクマが持ってきたのは、なんかよく知らない可愛い女の子のイラストがプリントされたロンT。
「これ欲しいとか?」
「うん!」
「へえ、こんなご趣味が…」
サクマ、君はほんとにアンドロイドなんですか?
.
948人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - tbmrrkqq8さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただいてるなら頑張って書きます!!ほんとこちらは空想の中の物語として楽しんでもらえたら良いなって思います。後編も読んでもらえるように頑張ります☆ (2020年10月14日 23時) (レス) id: e8f02d2b5a (このIDを非表示/違反報告)
tbmrrkqq8(プロフ) - 続き気になります!!いつも更新楽しみにしてます!お話の内容は現実世界から離れているのに引き込まれてしまいました。これからも応援してます (2020年10月14日 20時) (レス) id: 0465c5231f (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます!!アンドロイドと特殊なのでどうかなと不安なとこもあったので嬉しいです!!やっていた事を止めてまで読んで下さってる!?それは頑張って更新しなきゃですね!!頑張ります(^^) (2020年10月8日 19時) (レス) id: e8f02d2b5a (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - ゆきんこさんの作品、どれも大好きですが、今回のは特に刺さりました…もう毎日の楽しみで更新されるたびに、それまでしてたこと手を止めて世界に浸ってしまい好きです!これからも応援しています。 (2020年10月7日 17時) (レス) id: b899b04b91 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - まりんさん» まりんさん!コメント有難うございます!!あんな暖かそうな人を冷たい機械にしてしまったんですけど、少しずつ佐久間さんらしくなっていくのでそこを楽しんでもらえたらなと思ってます(^^)私も読んでもらえて幸せです!! (2020年10月7日 13時) (レス) id: e8f02d2b5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年10月5日 21時