・君との出逢い ページ1
・
2×××年＿＿＿＿＿＿
仕事帰り、いつもの土手沿いを傘をさして歩く。
足を上げる度に雨水が跳ね返って気持ち悪い。
「ん？」
なんだろう。
こんな雨の中、茶色く濁った川が溢れそうなのにも関わらず河川敷で座ってる人影がチラッと見えた。
変な人。
関わらないのが一番だよねと通り過ぎようと早くなった歩みだったけど、なぜかその人の後ろを通ろうという時、私の歩みはさっき以上に遅くなった。
ゆっくり、ゆっくり、
あ、男性？
白いロンTの彼は小柄に見えるけど、肩幅はしっかりしている。
濡れてうっすら身体が透けてしまってて、このままじゃ絶対風邪をひくだろうなって。
視線を投げ掛けていれば、それに反応したのかただの偶然なのか、その彼はゆっくりと此方を振り返った。
ドキッ、と胸の奥が疼く。
目が合って、引き寄せられるように、ゆっくりと土手を下りて行けば、彼もゆっくりと立ち上がって、少し離れた場所で立つ私を見上げていた。
「こんなところにいたら風邪ひくよ？」
「………」
「えっと、大丈夫？ 話せる？」
「………」
じっと見つめてくる大きな黒目。
私の言葉分かってないのかな？
見た目は金髪と派手だけど、顔は日本人だと思うけど。
でもまあ、今の世の中色々技術も進み何処の国とか性別とか年齢とかどうとでもなるくらいだし。
うーん、どうしようか。
もう少し近付いて、とりあえず傘の中に彼を招き入れた。
ずぶ濡れだから今更かもしれないけど。
「ね、話せる？」
「………」
何も反応を示さない。
まるで機械のような無表情さに、今更ながら声をかけた事を後悔するも、でもこのまま放っておくなんてできないし。
こうなればこれが最後の質問だ。
これで駄目なら、申し訳ないけど後で警察にでも連絡しよう。
「君、名前は？」
ピクリと眉が動き、ゆっくりと視線が傾き彼は首を傾げてる。
「………サクマ」
喋った！！
ちょっと疑問形に感じるのはこの際置いておいて。
「サクマ、か。行くとこないなら家に来る？」
出逢って数分、知らない男性を家に入れるなんて不用心にも程がある。
だけど何故か"サクマ"は大丈夫な気がしたんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 948人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - tbmrrkqq8さん» コメントありがとうございます！楽しみにしていただいてるなら頑張って書きます!!ほんとこちらは空想の中の物語として楽しんでもらえたら良いなって思います。後編も読んでもらえるように頑張ります☆ (2020年10月14日 23時) (
レス) id: e8f02d2b5a (このIDを非表示/違反報告)
tbmrrkqq8(プロフ) - 続き気になります！！いつも更新楽しみにしてます！お話の内容は現実世界から離れているのに引き込まれてしまいました。これからも応援してます (2020年10月14日 20時) (レス) id: 0465c5231f (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - 苺さん» ありがとうございます!!アンドロイドと特殊なのでどうかなと不安なとこもあったので嬉しいです!!やっていた事を止めてまで読んで下さってる！？それは頑張って更新しなきゃですね！！頑張ります(^^) (2020年10月8日 19時) (レス) id: e8f02d2b5a (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - ゆきんこさんの作品、どれも大好きですが、今回のは特に刺さりました…もう毎日の楽しみで更新されるたびに、それまでしてたこと手を止めて世界に浸ってしまい好きです！これからも応援しています。 (2020年10月7日 17時) (レス) id: b899b04b91 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - まりんさん» まりんさん！コメント有難うございます!!あんな暖かそうな人を冷たい機械にしてしまったんですけど、少しずつ佐久間さんらしくなっていくのでそこを楽しんでもらえたらなと思ってます(^^)私も読んでもらえて幸せです！！ (2020年10月7日 13時) (レス) id: e8f02d2b5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2020年10月5日 21時
