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ワースと別れ、アドラ寮に向かって歩く。
すると今度はフィンの兄であるレインと遭遇した。
「レイン、良かった」
「？どうした？」
ワースのとき同様にクッキーを差し出す。
「調理実習で作ったから食べて！」
「…」
そう言うとじっと見られた。
もしかして人の手作り苦手な人か…？
そう思っていたら、すっとクッキーを食べた。
「…うまい」
「ホント！？ありがとう」
ワースやレインに美味しいと言ってもらえたのなら自信を持っていいだろう。
「オーターさんにもあげるのか？」
「え？あげないけど」
レインといいワースといい何故同じ事を聞くのだろう…。
「そうか(オーターさんには絶対にバレないようにしておかねば)」
レインも苦い顔になった。
▽
ようやくアドラ寮に辿り着いた。皆は寮のキッチンスペースにいるようだ。
「 」
「 」
「あわわわ…」
中を覗くと、ドットとランスが気絶しており、フィンがあわあわしていた。
「あ、Aちゃん！」
私に気づいたレモンが声をかけてきた。
この惨状を見るに、レモンが作ったクッキーをドットが食べ、その後ランスも妹がいたら…とかそんな思考回路に至り、無下にはできず食べた。
そして残されたフィンは二人の惨状を見てとても食べたくないが断れないと言ったところだろう。
仕方がない、助け舟を出そう。
「レモン、マッシュの分が無くなっちゃうのも惜しいし、残りはマッシュに食べてもらうことにして、私の作ったヤツを食べない？」
「！いいんですか！！Aちゃんの美味しそうだなって思ってたんですよ！！」
「ほら、フィンも食べよう」
「！うん！！(あぶねー！！助かった…！ありがとうAちゃん！)」
そう言って席に着く。ドットとランス？未だに倒れてるよ？
「そうだ、ドット、具合が良くなったらこれ食べて。ドットから貰った茶葉で作ったからそのお礼に」
「…！！(Aちゃん…！！なんていい子なんだ…！！ていうかオレの為にわざわざ手作りクッキーを！？もう好きぃ！！！)」
ドットの前にクッキーを置くと何やら感動していた。
ドットは大袈裟だなぁ。
「…うまいな」
「おい、スカシピアス！！それはAちゃんがオレに作ってくれたヤツだぞ！！」
「少しは静かに出来ないのか」
「なにぃ！？」
ランスがドットの前に置いたクッキーを食べたことで言い争いが始まる。
ちなみに、レモン作のクッキーはマッシュが食べた。
─
2023.07.18
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作者名：雹 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/Haku_SHS/
作成日時：2023年7月16日 22時
