雷使いと調理実習 ページ5
イーストン魔法学校には調理実習の授業が存在する。
そして今日はクッキーを作る授業が開かれていた。
私はレモンと一緒に授業を受けている。
料理なんて暫くやっていないが、錬金術の様に細かい分量がわかっていればさして難しい事はない。
以前ドットに貰った紅茶の茶葉を使ってクッキーを完成させた。
「Aちゃんも出来ましたか!?」
「うん、レモンも?」
「はい!早速マッシュくんたちに食べてもらいます!!」
チラリと見えたレモンのクッキーは…何と言うか…ドロっとしていた。
…クッキーだよね!?
レモン曰くチョコレートと、あと体に良さそうな物を沢山入れたらしい。
レモンは授業が終わるとすぐにマッシュの元へ行ってしまった。
…まあマッシュなら大丈夫か。
いや、万が一他の人が口にしたら大変なことになりそうな見た目をしていた…!!!
念の為胃薬を持ってレモンの後を追った。
▽
廊下を歩いていると、見覚えのある天パが見えた。
オーターの弟ことワースだ。
「よお、いいもん持ってんじゃねぇか」
「カツアゲ?」
「ちげーよ!」
ヤンキーみたいな絡み方をして来たワースに、クッキーを差し出すと躊躇いなく口へ放り込んだ。
「…うめぇ」
「ホント!?久しぶりに調理したから不安だったんだ」
「もう一枚よこせ」
「あっ」
そう言って何枚も食べるワースの食べっぷりは見ていて気持ちのいい物で、作った甲斐があったな、なんて思う。
アメストリスに帰ったらエドたちにも作ってあげよう。
ワースとそんな事を話していたら、ふと周りの視線に気づく。
様子を見るに、私と同じく調理実習を受けていたレアン寮の生徒たちがワースに渡したいのか様子を伺っているようだ。
「ワースは人気者だね」
「は?」
そう言うと周りの視線に気づいてたのか、周りに聞こえるような大きな声で言った。
「知らねえヤツが作ったもんなんていらねぇよ」
「「!!」」
「あ」
ワースの言葉に、密かにこちらを伺っていた生徒たちが散っていった。
なんかこう言うところがオーターと似てるんだよなぁ。
「?なんだよ?」
「いや、何でもないよ」
「そういや
「え、なんで?」
調理実習で作った物だし学校内で消費する予定なのだ。
というか、なんでわざわざオーターに?甘い物好きじゃなさそうだし。
「…(兄貴には絶対黙っとこう)」
ワースがなんか苦い顔になった。
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作者名:雹 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/Haku_SHS/
作成日時:2023年7月16日 22時