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私の仕事 ページ44

にぃにsaid









Aが気付いてるかどうかは知らんが、Aはオレの妹じゃない。









あいつが1歳の頃、九条家に引き取られたんだ。









そうだな。もともと、引き取らなきゃよかったんだよ。









その時オレは4さい。









オレが言ったって聞いてくれなかっただろうし、しょうがなかったのかもしれないが。









千「…親御さんにいじめられてたの?Aちゃん」









いじめ?









ふっ、それならまだよかったよ。









お前らは知ってるか?









嫌われるより、怖いこと。









藤「嫌われることより、怖いこと…」









自分への興味がないことだよ。









嫌いじゃない。無関心だった。









だから、好かれてたわけじゃない。嫌われてもない。









Aはなんとか好かれようとしてたよ。









問題は起こさず、自分のことは自分でやった。









でも、親は何も言わない。









まともなお喋りなんて聞いたこともない。









あいつが家事得意なのは、昔からずっとやってたからだ。









別にやらされたたわけじゃない。









そうでもしないと興味が自分に向かないんだ。









掃除もした、飯も作った、病気になったって何も言わないで我慢してたよ。









なんでそこまでするのか。









それはオレがいたからだ。









引き取られる前は、たくさん愛情を注がれてたんだろう。









それと同じようにオレが愛をもらっているのを見て、いい子にしてれば自分もそうなれる…と。









Aは毎日一回、オレと一緒に菓子をもらえてたことが唯一の希望だったんだと思う。









それがAをつなぎ止めてた。









いつか好かれる日がくる。









オレと同じように好かれる日がくるって。









でも、そんな日なんてこなかったよ。









悪化なんてしてない。ずっと無関心だった。









与えられるものだけ与えられて、会話なんて1日1回交わせれば十分。









聞くだけじゃ分からないが、相当つらいぞ。









前の両親のことも覚えていない。









自分の知る親は、自分に興味のない親。









Aはあいつらが本当の親だと思ってんだ。









だから好かれていないことがAを苦しませる。









引き取られて数年も経てば、Aから笑顔が見られることもなくなった。

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作者名:苺パンダ | 作成日時:2020年3月12日 20時

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