13話「夢」【MIXC】 ページ42
飴莉side
久しぶりに夢を見ました。家族が鬼に食われる夢…僕が眠っていると何処からか悲鳴が聞こえてお母さんが僕の名前を呼んでいた
「飴莉!!逃げて!」
お母さんの隣には真っ赤に染まったお父さんの着物とお父さんの亡骸、そしてそれに食らいつく鬼
「へっへへ、まだこんなとこにガキがいたのか」
僕が初めて鬼を見て鬼とはどんな生き物か知ったのはこの瞬間だった。鬼は僕に逃げるようにと叫ぶお母さんを殺しそして食らった
普通なら此処でみんな怒りが湧いてくるのだろう、だが僕にはそんな感情は湧かなかった。小さい頃からよく常識はずれだ、おかしいなどと言われてきた僕がこの時思ったことは…
『これが弱肉強食という意味なのか』
きっと此処に人がいたとしたら僕のことをありえないものを見るような目で見るだろう。目の前で両親が食われているのに口に出したのがあんな言葉、それ以外にもっと思うことはないのかと怒るかもしれない。でも僕の両親を食っていた鬼は
「ハハハ、目の前で自分の親が食われてるのにそんな風にいうなんてなぁ。おもしれぇ今回は見逃してやる」
と言った。僕はある意味この常識はずれな部分に命を救われたのかもしれない。
『僕もいつか誰かのために心から怒ってみたいです……』
お母さん、お父さん貴方達の為に怒れなかった僕を怒っていますか?もしも怒っているのなら僕がそっちへ行った時に沢山叱ってください、もし怒っていないのならそっちへ行った時に沢山僕の大切な人達の話を聞いてください。
こんな僕でも仲間として認めてくれた鬼殺部隊の皆さんの話を。でも、まぁきっと2人は僕のことを怒るどころか「相変わらずね〜」なんて笑ってくれるので沢山話を用意しておかないといけませんね。
『さてと、金平糖を買いに行くついでに鬼がいないか確認しに行きましょう。今日は夢のおかげでスッキリとした気持ちです!』
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