【鬼滅の刃】鬼殺部隊「小説版」 (ページ32)

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4話「変わらぬ信念」【硯】ページ32

百々佳side

奥様方の井戸端会議が始める、どうやら向かいのお嬢さんが嫁ぐらしい。
子供たちが道の間を所狭しと駆け回る、笑い声が耳を擽っては少しこそばゆい。
露店の旦那の声が響き渡る、今日も今日とていい品を仕入れてきたようだ。

「やはり、この町は素晴らしい。」

日課と化している見廻りの最中、ふとそう思った。

人々の活気が褪せることなく、絶えず続くこの感覚。それにどうしようもない幸せを感じたのだ。

きっとこの思いがわかるのは数少ない理解者のみ。
ここで言う数少ない理解者は私たち、鬼殺部隊や鬼殺隊のことだ。何かを壊され失ったからこそ、その有り難さを身を持って知る。なんて残酷で凄惨な世の理だろうか。

物思いに耽りながら一歩、また一歩とこの平穏を噛み締めるようにして歩く。道中、目を引かれる露店があったので帰りにでも寄っていこう。甘味でも買っていったら喜んでくれるだろうか。
想像するだけで心がぽかぽか、暖かくなる。
ここ最近、物騒なことが起きていないことも相まってそれは大きさを増すばかり。本当に喜ばしいことだ。

しかしその言葉は直ぐに撤回されることになる。

「ｯてぇな、手前どこに目ぇつけてんだぁ？」

「っあ、ご、ごめんなさいｯ!!」

目の前でとんだ茶番劇が始まったのだ。

風呂敷を大事そうに抱えた少女にだらしなく着物を着流す男。前を歩く少女に、男が態とぶつかった。
少女は風呂敷を落とし泣きそうなのに、男は追い討ちをかけるようにして恐喝まがいに詰め寄っていく。

とてもじゃないが見ていられない。

「もし、そこのお方。」

「あﾞぁ？んだ手前、何か文句あっか？」

「文句も何も、見るに堪えない醜態を晒すんじゃない。不愉快だ。」

思ったままを口にすると、男は林檎のように顔を赤くした。
そしてその勢いのままに拳を頭上高くに振りかかってきた。随分と出鱈目な体の使い方だ。
相手にするのも無駄なので軽くいなして地に伏せさせる。すると男は無様な姿そのままに走り去っていった。男としてそれはどうなんだ。

不届き者もいなくなったので落ちた中身を風呂敷で包み、少女に手渡す。なんとも愛らしい笑顔でお礼を言われ、思わず私自身もお礼を言ってしまった。

いやはや、どうにもこの笑顔を守るために頑張れると思うのは私だけなのだろうか。

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すみません、話の間に挿入させていただきました。
流叶さんお待たせしてしまい、申し訳ございませんでした。