馬鹿【冨岡side】 ページ12
「…泣いてるんですか、師範」
「泣いてない」
「いや、明らかに泣いてますよね？」
「泣いてない」
「じゃあこの嗚咽の混じった声はどこからきてるんですか」
「知らない」
「は？」
…うるさい。
…黙れ。
前世ぶりに流す涙は自分でも変な感じがした。
…俺の継子、霧島Aはいつもこうだ。
人の核心をついて、その時に1番欲しい言葉をくれる。
…普段は馬鹿なのに。
知らず知らずのうちに妻にされてた？は？そんなの俺が許すわけない。←
俺が認めない奴との結婚は許さない。←誰
「…あ！！そういえば！！冨岡さん、今日どうして途中から黙りこくってたんですか？私なんか怒らせるようなことしました？」
俺の腕をスルッと抜けてこちらを振り向いたA。
・
・
・
「…なんでもない」
「いや、なんでもないわけないじゃないですか、こっちはずっと気にしてたんですから、話してください」
「…なんでもない」
…言えるわけない。
"お兄ちゃん"と呼ばれ、頼りにされてる伊黒に嫉妬した、とか。
錆兎にバレたら絶対に笑われる。
「いい加減怒りますよ」
「…」
目の前で頬を膨らませながら俺をまっすぐ見るA。
本人にすれば怒ってる表情なのだろうが、全く怖くない。
・
しばらく黙っていると、痺れを切らしたAがその小さい拳で俺の胸をポカポカしてきた。
…うわ、なんだこの可愛い小動物は…。←
…いかんいかん。←
一瞬胸がホワッと暖かくなる感覚がしたが、
すぐさま自我を取り戻し、俺はその小動物の頭を撫でた。
「…伊黒だけじゃなく、俺も頼れ」
そういうと、
「なに言ってるんですか、冨岡さん」
ポカポカしていた手が止まり、意味が分からないと言った顔で下からAが俺を見上げる。
「もしかして、伊黒さんのこと優しいって言ったこと気にしてます？」
「うっ」
「はぁ…確かに伊黒さんは優しいですしお兄ちゃんみたいに思ってますけど、私、冨岡さんのこともちゃんと頼りにしてますからね」
「…それは本当か」
「もう、、、今更すぎます、冨岡さんはやっぱり馬鹿ですね」
「な…っ」
「私にとっての師範は冨岡さんしかいないんですよ、今も昔も。
それだけは一生変わりません。
私が師範のこと尊敬してるの、忘れてもらっては困ります」
そう言ってAは真っ直ぐ俺を見た。
ああ、なにを勝手に心配してたんだろう。
やっぱり俺は馬鹿らしい。
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月影美國(プロフ) - お正月編めっちゃおもしろかったです！ (2022年8月1日 22時) (
レス) @page24 id: 78f9c276ca (このIDを非表示/違反報告)
アマリス(プロフ) - 可哀想に、夢主。ここまで苦しんできて、こんな時まで思い出してもらえなくて。結局、無一郎にとって夢主は、どうでもいい存在だったんですよ！大事な約束を忘れてもいい、どうでもいい存在だったんですよ！！ (2022年7月26日 10時) (レス) id: 7d0074fb6d (このIDを非表示/違反報告)
ぶどう - 完結おめでとうございます!!とても面白かったです(≧▽≦) (2021年3月26日 12時) (レス) id: 87d010c47c (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - Rainさん» 嬉しすぎます！！！ありがとうございます！！！最近更新できてなくてすみません((泣 がんばりますね！！ (2020年7月25日 2時) (レス) id: df4a9c362b (このIDを非表示/違反報告)
Rain - 完結おめでとうございます！1日で面白くて最初の話から読んでしまいました！ 善逸とむいくんが推しだからすっごく楽しく読ませていただきましたこれからもりこさんの作品を応援します！ (2020年7月10日 21時) (レス) id: 3d2006b17f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りこ
| 作成日時：2020年6月14日 5時
