3年A組の猫羽さん さんっ！

猫羽という人間。 ページ21

(……掌から溢れる鮮やかな赤)









(……自分の血なんて見慣れたものだ)








諏訪｢猫羽……｣









｢……10日なんて短いし楽勝だと思ってた







でも、結構長いものなんだね｣











ふっと口角を上げて諏訪を見つめる













｢私ね、あの人の……父親の言いなりなの。学校なんて行く意味無いとか言われて辞めさせられたし……小学校も中学校もちゃんと通ってた記憶ないなあ｣








目を瞑って記憶を探っても本当に見つからなくて自傷気味に笑う








水越｢猫……ちゃん？｣









｢跡継ぎはね、お姉ちゃんだったの。でもね、お姉ちゃんが病気になっちゃって、いらなくなったからすぐに切り捨てた。……あんな、最低で、最悪で…人を人とも思ってないヤツ…父親だと思うだけで吐き気がするわっ｣











彼女は自分の過去を語っているのか……










否、今まで積み上げてきたものをただ思いつくままに吐き捨ててるだけだ










文脈なんてまるで無い









きっと誰にも伝わっていない












｢跡継ぎなんて……学校通わせてもらってない人間に務まるわけないじゃん……人とどうやって接していいか分からないのにっ！なんでっ…全部あの人のせいなのに……私が悪いみたいに言われなきゃいけないのっ……｣










ポロポロと彼女の大きな瞳からは涙がこぼれる












｢…っ…はぁ……あ〜……違う。こんな感じで話したかったわけじゃない……んだけどなあ｣











(息が上手にできない……)












｢僕が弱いから……ごめんなさい……っ！｣












猫羽は軽く頭を下げてから教室を飛び出した











諏訪｢猫羽っ…！｣







甲斐｢待て…今は……｣










追いかけない方がいい












教室にいる生徒が皆そう思った













今の彼女をどうにか出来るのはきっと……



















先生だけだ……。

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