PM15:30 ページ23
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ローマの空が少しずつ赤みを帯びていく｡
王女は何を思っているのかな｡
綺麗に整った横顔を見つめるともなく歩いていると、ある建物がふと目に入った｡
…王女だって、分かってるはずだ｡
今晩は会見をしなければならない｡
あと三時間くらいで、宮殿に戻って支度をして…｡
…こんなこと、してられないよな｡
近くのベンチまで、王女の手を引く｡
王女は素直についてきて、一言も発することなく腰かけた｡
雑踏、喧騒
街の灯りと、揺れていく景色
どこかの名画のような風景を、二人肩を並べて見る｡
「…Aさん」
「…」
「…会見は、何時から…？」
王女はうつ向いたまま､
ほんの少しだけ 手に込める力を強くした｡
彼女の不安が、手を通して僕にも直に伝わってくるようだ｡
「…７時、から」
「……もう、」
「分かってるわ」
「……」
王女は顔を上げる｡
大きな凛々しい瞳が、僕を見つめている｡
…どこかへ、連れ出して｡
そう訴えかけている｡
…けれど｡
「…帰らなきゃ」
王女は微笑んだ｡
寂しそうに｡
「はぁー。…楽しすぎたわ、今日は」
「…そう、ですね」
「夢みたいだった。この街を回れたこと。本当に幸せだった」
「…」
「ねえ、ジミン」
「…はい？」
「寂しい？」
…そんなの｡
答えられるわけがない｡
寂しいと言えば、貴女を引き留めることになる｡
寂しくないと言えば、僕にも貴女にも嘘をつくことになる｡
僕は、不甲斐ない男だから｡
貴女とは違うから｡
うつ向いたまま、口を開く｡
「…答えられません」
王女は溜め息に似た微笑みを残す｡
「…ずるいよ」
「はは… ……ごめんなさい」
これでいいんだよな｡
記事にするには十分、写真も撮った｡
そろそろ別れないと、会見にも遅れてしまうし｡
この手を、離さないと｡
…そう、頭では分かっているのに｡
少しだけ手の力を緩めて
その細い指の間に
クリームパンみたいだ、なんて笑われた僕の指を絡める｡
王女はびっくりしたように体を震わせるけど
僕の顔を見て
それから、しっかり繋がれた手と手を見て
何故だか懐かしそうに微笑むと
僕の肩に頭を委ねた｡
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るるん(プロフ) - なんて素敵な作品なんでしょう。ロマンティックさに私の心がどじょうの踊り食いのようにいきいきとドクドクいたしました。如月さんのファンです。またお会いできる日があることを楽しみにしております＾＾ (2020年5月13日 19時) (
レス) id: f74975a042 (このIDを非表示/違反報告)
ゆと - 今回も面白かったです！ジミンペンなので嬉しかったです！！次の作品も楽しみにしてます！！ (2018年8月21日 14時) (レス) id: 40f8865bdc (このIDを非表示/違反報告)
jminachim(プロフ) - ローマの休日、大好きなので、ジミンちゃんで書いてくれて嬉しいです！とても面白かったです！ (2018年7月28日 20時) (レス) id: f1d85013b4 (このIDを非表示/違反報告)
カカオ70%(プロフ) - 今回も面白く読ませていただきました。次作も楽しみに待っております。ありがとうございました。 (2018年6月16日 1時) (レス) id: 16b93b765b (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - Sakiさん» 「アメリカンショートカット ローマの休日」で検索していただいたら、オードリーの画像が出るかと思われます。ローマの休日でオードリーが披露し、世界的に流行した髪型なんですよ(^-^) (2018年6月11日 21時) (レス) id: 3978748180 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2018年5月31日 18時
