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すれ違う多くの職員の中から 、事情聴取の時に俺を担当したチャンさんを見つけた 。
思わず声をかけてしまう 。
「あ、あの、チャンさん」
「ん?あー!ジョングギじゃ〜ん」
ヌナと同じカウンセラーとして働く人だけど
なかなか ぶっ飛んだ人だ 。
今日もフレンドリーにハイタッチを求めてきた 。
適当にそれを あしらって 、本題に突入する 。
「すいません、青少年健全育成課の…」
「おう」
「イ Aさんって、どちらにいらっしゃるんですか?」
「え?」
「えっ……て、だから、」
「何それ。誰」
「は…?」
……ついに頭のネジまでぶっ飛んじゃったのかな 。
いくら持ち場が違っても面識くらいあるだろ 、
せいぜい20人程度の課なんだから 。
それなのに 、チャンさんはきょとんとしている 。
「いやだから、イさん。カウンセラーでしょ」
「いないってそんな人」
「はぁ…?」
「名簿見てみる?こっちおいでよ」
すたすたと歩いていくチャンさん 。
ジミニヒョンと顔を見合わせて 、それについていくことを決める 。
ごちゃごちゃしたデスクの間を縫って 、
チャンさんはファイルが羅列している棚から 一層分厚いファイルを取り出した 。
小さく手招きをされて 、ファイルを覗き込む 。
指で職員の名前を辿っていくチャンさん 。
……確かに 、ヌナの名前は無い 。
どういうことだ?
「え、でも、……」
ジミニヒョンも言葉に詰まってしまう 。
いくら俺たちがヌナのことを知っていても 、
それを立証できはしない 。
ここでヌナを見かけたことなんて 、
カウンセリングと称してテヒョニヒョンの伝言を伝えに来たときくらいで…… 。
「……!」
……そうだ 。
その時の記録くらい 、残ってるはずだ 。
「僕達、前にここでカウンセリング受けたんです。その時 イさんが対応してくれました」
「あ……、ぼ、僕も!」
ジミニヒョンの加勢に 、若干俺たちへ機運が傾いてきているような感覚がする 。
けれど 、チャンさんは顔色一つ変えずに
別のファイルを取り出した 。
「カウンセリングの記録……っと、これかな?これ?」
「そっ、そうです、それ…」
名簿の中にある俺たちの名前 。
その横には 、カウンセラーとして対応してくれたヌナの名前が…… 、
「…ソン ユジョン……?」
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ゆちこ(プロフ) - ポンナル・・・(号泣) (2020年12月13日 22時) (レス) id: bc049b52d2 (このIDを非表示/違反報告)
れいん - スメラルドの伝説みたいですね…最後に報われて良かったと心から安心しました (2020年1月4日 14時) (レス) id: 52952f4d90 (このIDを非表示/違反報告)
yka.(プロフ) - 本当に大好きなお話です。一本の映画を見終わった時の感動、いや、それ以上の世界観に本当に引き込まれました。読んでいる時もう情景が浮かぶというか…本当に大好きなお話です。こんな素敵な作品ありがとうございました。 (2019年8月16日 9時) (レス) id: 537e4a64df (このIDを非表示/違反報告)
kasuminm(プロフ) - とてもとても大好きなお話です。出会えたことに感謝します。今まで読んできた作品の中で一番儚く、綺麗で切ない物語です。ありがとうございます。 (2018年11月24日 12時) (レス) id: 33b54539c5 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 最高すぎる。ユンギは坂を登り彼女は坂を下り、海の見える丘でユンギの煙草の匂いが彼女の鼻をかすめる。青空の下でまた出会う2人。感動しました。 (2018年11月3日 10時) (レス) id: 49a7a7eeba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:如月 | 作成日時:2018年3月17日 21時