＿ ページ36
.
息が出来なくなったのは 、
涙が溢れてきたからじゃない 。
ユンギの薄い唇が 、
いきなり私に振り向いて 重なったから 。
煙草の苦い香りが 、鼻孔を満たす 。
ユンギは角度を変えながら 、唇に 、頬に 、首筋に 、瞳に 唇を重ねていく 。
そして 私のことを抱き締めた 。
優しく 。
ユンギの吐息が 肩にかかる 。
あたたかい 。
「遅ぇんだよ、もっと最初から本当のこと言え。ユンギ様に会いたかったって」
「だって……、」
「どうせ自分に嫌気が差したんだろ。ホソクが純粋すぎて。あいつほんと遊郭向いてねぇよ。いいやつだけど」
「それは……」
ユンギには全部お見通しだ 。
ユンギは ためらうように 、
それでも口を開く 。
「……もう来ない方がいい」
「ユンギっ… ……」
「お前の為に言ってんだよ」
ユンギが私の肩を掴む 。
心を鋭く射抜くような 、その瞳 。
こんな時に限って 、
ユンギは私の顔にかかった髪を優しく その手でかき上げるんだ 。
「お前遊郭に来ていいような身分じゃねぇだろ」
「……」
「ホソクみたいなの見たらやってけねぇんじゃねぇの。本当にやめた方がいいって」
「……でも、」
「調べたぞ。お前 ── 」
その先が聞きたくなくて 、ユンギに抱きつく 。
煙草の香りと 、ユンギの香りが混ざり合う その肌 。
私が彼の背中に手を回すと 、ユンギは息が詰まったように 口を閉ざした 。
呆れたように 、小さく溜め息をつく 。
「……なんで… 、」
「それ以上言わないで…」
「……本当にお前、バレたらどうすんだよ」
「大丈夫だから、ほんとに…」
ユンギはきっと 、本気で私の身を案じてくれているのだろう 。
彼の優しさに応えられない自分が 、嫌だ 。
どう私のことを調べたのだろう 。
でもそんなこと 、今だけは どうでもよくて 。
ユンギの細い腕が背中に触れる 。
彼と身体が密着して 、その鼓動が 直に伝わってきた 。
きっと私のも 、彼に伝わっている 。
呆れたようにユンギは溜め息をつき 、
私の頭を撫でる 。
ユンギは私を抱き締めたまま 、
布団に寝転んだ 。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3930人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
百合梛 - 初めまして、頁を捲るのが惜しい位に面白い作品です、他の作品とは違う読みやすさと魅せられる物が有ります、如月様の御挨拶の書き方もとても素敵で感動しております。第二幕これから魅させて頂きます。 (2019年7月23日 15時) (
レス) id: 620040a8de (このIDを非表示/違反報告)
ゆ わ こ(プロフ) - ただ好き。こういうお話が好き。 何回も読み直してしまう (2018年11月16日 18時) (レス) id: 41ddd5c2e8 (このIDを非表示/違反報告)
ЯeI(プロフ) - とても簡潔に感想を言いますと、やたら行間が多くて読みにくい、会話に(笑)という表記がよく出てくるのが小説的には…という感じでした。それ以外は真似したくなるような所ばかりで、ありきたりな設定の中に色々と詰め込まれてて面白かったです。外伝頑張ってください。 (2018年3月23日 22時) (レス) id: 916ce16a17 (このIDを非表示/違反報告)
sunshine。。。(プロフ) - 面白い。 (2018年3月4日 10時) (レス) id: a43e5c801b (このIDを非表示/違反報告)
ユン(プロフ) - 途中途中がエロすぎますよwあ、いい意味でですよ！？しかもみんなの特徴をすごい掴んでいてめっちゃ好きです！しかも所々がかっこいいです！何回も読み返したくなる病にかかりましたw第二幕楽しみにしてます！これからも頑張ってください！応援してます！！！ (2018年2月26日 15時) (レス) id: 0f8c4a85df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：如月
x他1人 | 作成日時：2018年2月17日 15時
